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大阪桐蔭→早大バッテリーが《DeNAドラフト2位と指名漏れ》の明暗… 楽天ドラ6右腕とともに「最後の早慶戦」で有終の美を 

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清水岳志

清水岳志Takeshi Shimizu

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posted2021/10/29 11:05

大阪桐蔭→早大バッテリーが《DeNAドラフト2位と指名漏れ》の明暗… 楽天ドラ6右腕とともに「最後の早慶戦」で有終の美を<Number Web> photograph by Waseda Sports

ドラフト指名を受けた徳山壮磨と西垣雅矢。大学生活の集大成を見せられるか

 徳山はドラフト直後の法大戦でプロでチームメイトになる三浦銀二と投げ合って、7イニング、被安打2、8奪三振、無失点。ゲーム後、監督は称えた。

「徳山はまさかの2位指名で、気が抜けてないか心配したが、気持ちが入っていた」

 西垣は法大戦でヤクルトに1位指名された山下輝と投げ合って無失点完投(引き分け)。さらに明大との2回戦でも8安打されながらもフォークなど持ち味の変化球で11個の三振を奪って142球で完封勝ち。連続無失点を30イニングに伸ばし、防御率トップの位置にいる。

 指揮官はべた褒めだった。

「ここまで点を取られないと思ってなかったけど、プロに出しても恥ずかしくないピッチャーになったと思う」

大阪桐蔭から徳山とともに入団した岩本

 冒頭の2018年の1対0の試合、ベンチ入りしていた1年生キャッチャーがいた。

 徳山と一緒に大阪桐蔭から入学した岩本久重だ。昨年からはレギュラー、4番に定着している。明治大・竹田祐、慶大・増居翔太ら各校のエース級からホームランを打っている。パワーには自信がある、と話していて打てる捕手として評価されてもきた。

「阪神の梅野(隆太郎)さんが目標。バッティングも得点圏打率が1位です(9月上旬時点)。盗塁阻止率も高く、ブロッキングも上手い。プロは子供のころからの夢でした」

 ドラフト前はこう言って、迷いなくプロ志望届を出していた。

 もちろん、小宮山監督の“ひと添え”は岩本にもあった。

「ここ数年、六大学のキャッチャーもプロ入りしてますが、彼らより岩本の方がプロでやっていける確率は高いとみてます。バッティングも長打力があってポテンシャルはある。

 盗塁が刺せない、捕逸が多いというけど、肩の強さは平均以上だし、盗塁は投手に責任が半分以上ある。それに神宮は土が硬いので、ワンバウンドを取るのもみんな苦労してる。練習でテクニックは身についてくる。我慢して割り切って使ってくれるチームなら成長できる」

吉報が届かなかった岩本に対しての“親心”

 しかし、残念ながら岩本に吉報は届かなかった。

 監督はドラフト翌日のゲーム後、シーズン最中のドラフトについて言及した。

「この時期のドラフトは断固として反対したいですね。将来が決まるのが、リーグ戦の最中でしかも、翌日に試合があるなんて異常な事態。指名された者はいいけど、指名されなかった岩本の気持ちを考えたら、半日で普通に戻るわけがない。4年間かけてプロへという強い思いを持っていればいるほど、厳しい仕打ちを受けた印象がある」

 岩本は健気にやっていた――そんな気持ちを慮る親心が伝わった。

【次ページ】 慶応に進んだ主将との“大阪桐蔭勢”の因縁

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