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大阪桐蔭→早大バッテリーが《DeNAドラフト2位と指名漏れ》の明暗… 楽天ドラ6右腕とともに「最後の早慶戦」で有終の美を
text by
清水岳志Takeshi Shimizu
photograph byWaseda Sports
posted2021/10/29 11:05
ドラフト指名を受けた徳山壮磨と西垣雅矢。大学生活の集大成を見せられるか
「これまで、練習して努力してスランプを抜けてきた。だから、とことん突き詰めました。でないと、自分の長所もなくなるので」
「《これだ》と気づくものがありました」
そしてある日、光明が差した。
「言葉でうまく説明できないんですが、ピッチングをしていたら《これだ》と気づくものがありました」
導き出したのは、地道な努力は惜しまないけれど、考えすぎずシンプルに、ということだった。
「今年の春、彷徨った日々は今後、野球を続ける上で、いい経験になった」
徳山の混乱ぶりを見ていた小宮山悟監督が言う。
「春は自分でいろいろ考えて、形を追い求めていたので、任せてました。でも試合で答え合わせをするけれど、打たれる。まあ、高い授業料でした。シーズン後から夏のオープン戦にかけてつかんだものがあったんでしょう。自分のタイミングで投げられるようになった。
目指すところはプロ。プロは自分で課題を見つけて練習していくところ。それができる選手なので。全てを教えるんじゃなくてヒントを教えて、引き出しをいろいろ用意できたと思っている」
春は0勝3敗だった西垣の“進化”とは
かたや、西垣も春は0勝3敗、防御率3.41だった。
東大戦は8回無失点、10個の三振を奪ったが勝ち星はつかず。以降は要所で抑えきれないパターンで負け数を重ねた。
「カウントを悪くして、ストライクが欲しい時、甘い球がいって打たれて。ここは抑えなきゃ、というところで失点が増えました。チームを勝たせるピッチングができなかった」
シーズン後から、重心を下げたフォーム作りを目指したという。
「トレーナーに『腕だけで突っ立って投げている』と言われて、いろいろ試しました。これかな、というのがあって、そのフォームで球速が148から150キロと2キロ上がりました。球威も増して2キロ以上の感覚があります」と秋のシーズン前に自信をのぞかせていた。
また、変化球の精度を上げる練習もした。
「勝負どころで甘くなっていた。早慶戦でも2ストライクを取ったのに甘くなって正木(智也=ソフトバンク2位)に打たれました(1回戦、ホームラン)。ショートバウンドでもいいから、と割り切ることにしました」
ブルペンの投球練習でキャッチャーとの間に棒を2本並べて、スライダーはその棒のここで曲がる、カットボールならここで曲がる、と意識付けしたピッチングを繰り返した。抜けるボールが無くなって、納得のいく変化球になった、という。
また、ウェートトレーニングで筋肉をつけたそうだ。