欧州サッカーPRESSBACK NUMBER

《メッシとロナウド不在の寂しさ》カメラマンが見たクラシコの新風景 17歳ガビや仲良しバルサ&レアルサポ、殊勲ビニシウスへの“罵倒” 

text by

中島大介

中島大介Daisuke Nakashima

PROFILE

photograph byDaisuke Nakashima

posted2021/10/26 17:01

《メッシとロナウド不在の寂しさ》カメラマンが見たクラシコの新風景 17歳ガビや仲良しバルサ&レアルサポ、殊勲ビニシウスへの“罵倒”<Number Web> photograph by Daisuke Nakashima

8万7000人を集めたカンプノウ。バルサとマドリーが「真の強者」に戻るためには、新世代の胎動が必要だ

 マドリーでは本来ウイングのルーカス・バスケス。昨シーズンから継続して右サイドバックで出場していました。逆にバルサは、右サイドバックのデストがウイングでの出場となりましたが、これが最終的にゲームの結果を左右しました。

 ビニシウスの抜け出しに対して、バルサの守護神テア・シュテゲンが鋭く対応。その後のオフサイド判定に、テア・シュテゲンは鬼の形相でラインズマンに詰め寄っていました。現行のルール上、仕方ないとはいえ、オフサイド判定がプレー後まで確定しないのは、ディフェンス陣にとっては非常に厄介だな、とも感じます。

バルサ最大の決定機、しかし本来SBのデストが……

 ファーストハーフ中盤、バルサのデストは先制の絶好のチャンスにシュートをふかしてしまいました。キーパーとの1対1の局面でしたが、先ほども記した通り本来DFの選手だけに……仕方なかったのでしょうか。シュートが枠外に逸れると、最後方にいたジョルディ・アルバが崩れ落ちたのが印象的でした。

 このような試合での先制点の重要さを理解しているからこその反応だったのかなと思います。押し込むだけのゴールが決まっていれば、全く違った結果が待っていたのかもしれません。

 前半も終盤に差し掛かり、マドリーもバルサのゴール前まで攻め上がる機会が増えてきました。

マドリーの新鋭と新加入アラバが絡んだ一撃

 試合が動いたのは32分でした。

 バルサのメンフィスにボールが入った瞬間に、今季バイエルンから加入のアラバが詰め寄るとボールを奪いビニシウスにつなぎます。

 そして、そのままセンターバックのアラバが駆け抜けていくのが目の端で捉えられました。ボールは左サイドのビニシウスから右サイドのロドリゴへ、そこから最前線まで攻め上がったアラバにボールが回り、会心のミドルシュートがシュテゲンの手をかすめるようにバルサのゴールネットを揺らしました。

 アラバは渾身のガッツポーズ。バルサファンからは落胆とアラバへの憎しみ、少数のマドリーファンは喜びを露わにしていました。ちなみに試合前は和気あいあいだった両チームのファンですが、バルサの失点直後には、ゴール裏などに入ってしまったマドリーファンが罵倒とともに、追いやられる姿も散見しました。

 バルサ視点で見ると……高速カウンターに対して仕方のない部分もありましたが、エリック・ガルシアが、ベンゼマに引っ張られ過ぎてしまい、アラバの対応に間に合いませんでした。このままマドリーの1点リードで前半を折り返しました。

 クーマン監督は後半の頭から、サイドバックのミンゲサに代え、コウチーニョを投入してきました。

 メッシ後の「新10番」として期待されたアンス・ファティですが、なかなかシュートまで持っていくこともできませんでした。

 そんなアンスとは対照的に、マドリーのホープ、ビニシウスは攻守ともに左ウイングとして突出した存在感を放ち、バルサを慌てさせました。

 バルサにとってアンスやペドリ(この日は欠場)らとともに今後の希望となるのは、最年少17歳で出場したガビ。ベンゼマ、クロースなどと正面からやり合い、実力の片鱗を見せました。

【次ページ】 クラシコらしい“罵倒”にビニシウスは思わず……

BACK 1 2 3 NEXT
バルセロナ
レアル・マドリー
カンプノウ
リオネル・メッシ
クリスティアーノ・ロナウド
アンドレス・イニエスタ

海外サッカーの前後の記事

ページトップ