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破産寸前に陥ったバルサを悩ますもうひとつの問題…“バルトメウの置き土産”クーマンは本当にアイデアを持っているのか?
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byGetty Images
posted2021/10/11 06:00
財政難の影響で低迷するバルセロナ。タレント不足に加え、クーマン監督の采配にも批判が集まっている
リスボンからバルセロナに戻ったラポルタは、夜中にもかかわらず側近を呼び出して、クーマンの処遇を明け方4時過ぎまで話し合った。
そして翌日、再び膝を突き合わせて出した結論は、勝敗を問わず、10月2日の第8節・アトレティコ・マドリー戦後に解任するというもの。メディアがそう報じるとクーマンも覚悟を決め、A・マドリー戦前日の記者会見ではこう語っている。
「誰にも何も言われていないが、私にも耳と目がある。メディアにリークされたことの中には真実もあるはずだ」
バルサらしいサッカーをして浮上するためのカギは?
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ところが試合当日、ラポルタが明言したのはクーマン続投だった。
「いまリハビリ中の選手たちが戻ってきたらこのチームは強くなると言ってくれた。彼を信じている。監督は今後も彼だ。我々は我慢強く見守ってやらねばならない」
顧問としてラポルタを助けるジョルディ・クライフが解任にストップをかけたそうだが、心変わりの一番の理由は後任が今回も見つからなかったことだろう。
わずかな年俸で多くを求められるいまのバルサの監督は、決しておいしい仕事ではない。好条件を提示して優れた監督を引っ張ってこられなくなったのも、またバルトメウの負の遺産である。
クーマンは、アグエロやデンベレが戦列に復帰すれば機能するアイデアを本当に持っているのだろうか。
今季最高の試合をしたリーガのレバンテ戦を思い返すと、バルサがバルサらしいサッカーをして浮上するためのカギは別にあるように思える。
クーマンがベンチ入りを禁じられたあの日、ピッチには同じサッカー観を持つカンテラ出身者が常時6人以上立っていた。