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破産寸前に陥ったバルサを悩ますもうひとつの問題…“バルトメウの置き土産”クーマンは本当にアイデアを持っているのか?
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byGetty Images
posted2021/10/11 06:00
財政難の影響で低迷するバルセロナ。タレント不足に加え、クーマン監督の采配にも批判が集まっている
クラブのプライドを著しく傷つける指示
昨季終了後、自滅という形でリーガ優勝を逃したクーマンに対し、ラポルタ会長は次のように伝えたという。
「君は私が選んだ監督ではない。後任を探すのでしばらく待ってくれ。見つからなかった場合は来季も君が監督だ」
以来、剣呑だった2人の関係は9月上旬になり一層緊張した。自分の契約延長に関する情報をメディアにリークしたと、クーマンがラポルタを責めたからだ。
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数日後、バルサはCLのバイエルン戦に臨み、完敗を喫した。
クーマンはアグエロやデンベレが依然欠場中であることや選手の若さに言及し、チームの現在の実力差を逃げ道にしたが、ラポルタは解任を再考し始めた。
続くリーガのグラナダ戦では、クーマンのアイデア不足が露呈した。
この一戦、バルサのボール保持率は77%を記録したけれど、攻撃はゴール前へのクロス一本槍で、最終的な本数は実に54を数えた。今季それまでの公式戦4試合で蹴ったクロスの合計52本を、90分少々で上回ったのだ。
おまけに、いつまでたっても同点ゴールを決められないことに業を煮やしたクーマンは終盤、身長188cmのルーク・デヨングに加え、CBのピケとアラウホまで相手のゴール前に張り付かせた。
それは、バルサというクラブのプライドを著しく傷つける指示だった。
結論は勝敗を問わず、A・マドリー戦後に解任
サポーターやメディアからも懐疑的な視線を向けられるようになったクーマンは、CLのベンフィカ戦で改めて自分の無策(あるいは力不足)を露わにした。
アウェイで0-3と惨敗した直後、ピッチ脇でマイクを向けられたピケは当事者として真情を吐露している。
「勇気をもって勝ちにいったが、同じような形で簡単に2点とられてしまった。俺たちの方は、試合を3時間続けたところで1点もとれなかっただろう」