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「なぜダメなんだ」ではなく「もっとできる」女子バスケから学びたい“厳しさの質”とスケボー選手の“清々しさ” 

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大山加奈

大山加奈Kana Oyama

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photograph byAsami Enomoto/JMPA

posted2021/08/21 11:02

「なぜダメなんだ」ではなく「もっとできる」女子バスケから学びたい“厳しさの質”とスケボー選手の“清々しさ”<Number Web> photograph by Asami Enomoto/JMPA

銀メダルを獲得した女子バスケ日本代表のトム・ホーバスHC。選手たちを鼓舞する姿が印象に残った

 女子バレー日本代表は1964年の東京オリンピックで金メダルを獲得し、“東洋の魔女”として大会を象徴する存在になりました。それ以来、ずっと高い期待を寄せられ続けています。中田久美監督、主将の荒木絵里香選手を筆頭に、今回出場した選手たちも「女子バレーが負けるわけにはいかない」と本当に必死で、計り知れないプレッシャーと戦っていたと思います。

 でも本来、スポーツをするうえで大切なのは勝つことやメダルを獲ることだけでなく、ベストを尽くし、一番大切な舞台で最高のパフォーマンスを発揮すること。そこにチャレンジすること。そこに喜びを感じるものであるはずです。

 なぜスケートボードの選手たちはあのようにチャレンジをして、称えることができるのに、日本の女子バレー選手はできなかったのか。それは彼女たちの責任ではなく、バレーボールを始めてからここまでの競技を取り巻く環境も大きく影響しているはずです。

「しなければならない」という固定観念

 中学生や高校生だけでなく、小学生のバレーボール現場でも未だに怒鳴り散らす指導者やミスを厳しく叱責する指導者がいます。残念ながら「怒られたくない」と怯える選手たちの姿もまだまだ多く見られます。

 ミスをすれば「何をやっているんだ」と叱られるから、ミスをするのが怖い。だから積極的なプレーもできない。本末転倒なのですが、残念ながらそれが女子バレーボールの育成現場の実情でもあり、そのまま中学、高校で「ミスをするな」「勝たなきゃダメだ」と教え込まれたら、余計に「~したい」ではなく「~しなければならない」という固定観念を抱いてしまう。

 決してトップチームの責任だけでなく、育成年代から続く課題が露呈した。東京オリンピックの女子日本代表の成績は、その結果だったのではないでしょうか。

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