大山加奈のVolleyball is Life BACK NUMBER
「なぜダメなんだ」ではなく「もっとできる」女子バスケから学びたい“厳しさの質”とスケボー選手の“清々しさ”
posted2021/08/21 11:02
text by
大山加奈Kana Oyama
photograph by
Asami Enomoto/JMPA
東京オリンピックの閉幕からもうすぐ2週間が経ちます。
男子バレーは目標だった予選リーグ突破を果たし、7位入賞。メダル獲得は2024年パリ五輪へ持ち越しになりましたが、多くの方々からの「日本の男子バレーが変わった」「男子バレーが面白かった」という声をたくさん聞きました。
バレーボールのワクワク、楽しさが伝わったことに嬉しさを感じる一方で、女子は悔しい結果となりました。
私もオリンピックには一度しか出場した経験がなく、ましてや自国開催の経験などありません。ここで勝つためにどれほどの努力を重ね、どんなプレッシャーを背負って臨んだか。その重圧は選手たちにしかわからないので軽々しいことは言えませんが、OGとして言うならば、その「勝たなければならない」という目標に縛られてしまった結果、速さにこだわりすぎて、もともと持っている良さを活かせなくなっていたように見えました。
アスリートである以上、誰しも負けたくない。ましてや一番大きな大会であるオリンピックで勝つことを目標にするのは当然で、そのこと自体が悪いとは言いません。ただ、今回新種目として取り入れられたスケートボードやサーフィン、ボルダリングなどを見ていたら、プレッシャーがかかる本番でも「勝ちたい」「勝たなきゃ」というよりもまず、「今まで練習してきたことを発揮したい」という前向きな姿がとても印象的でした。
岡本碧優のチャレンジ
特に象徴的だったのが、スケートボード女子パーク決勝で岡本碧優選手が最後に大技へチャレンジしながら失敗し、4位で終えた場面。「メダルを獲れなかった」「失敗した」と悔しさを滲ませる岡本選手を、共に戦ってきた選手たちが笑顔が抱き上げた。最後に大技へチャレンジする姿勢を称えたのです。
あのシーンは私の中で東京オリンピックのまさにハイライトと呼ぶべき場面であり、これぞスポーツの醍醐味、本質が詰まったシーンでもありました。
清々しくチャレンジし、チャレンジを称えるあの光景を見ていたら、「勝たなきゃ」と悲壮感すら漂わせていた女子バレーの選手とあまりにも違う。素直に、私はそう感じました。