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「なぜダメなんだ」ではなく「もっとできる」女子バスケから学びたい“厳しさの質”とスケボー選手の“清々しさ” 

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大山加奈

大山加奈Kana Oyama

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photograph byAsami Enomoto/JMPA

posted2021/08/21 11:02

「なぜダメなんだ」ではなく「もっとできる」女子バスケから学びたい“厳しさの質”とスケボー選手の“清々しさ”<Number Web> photograph by Asami Enomoto/JMPA

銀メダルを獲得した女子バスケ日本代表のトム・ホーバスHC。選手たちを鼓舞する姿が印象に残った

 パリ五輪まであと3年。来年には世界選手権があり、五輪に出るためには最終予選も勝ち上がらなければならない。厳しい状況はまだまだ続きます。

 では何をすればいいのか。まず、育成年代を含めた日本の指導者には「高さがないから速さを追求しなければ勝てない」という固定観念を捨てていただきたい。目の前にいる選手は、高さやパワー、技術、たくさんの能力を持っていて、それを活かせるバレーボールをすれば十分に戦える選手たちです。どうか可能性を消さないでください。

 東京オリンピックで銀メダルを獲得した女子バスケットボール日本代表がいい見本になるでしょう。選手の皆さんは口々に「練習が厳しかった」「監督の指導は厳しい」と話していましたが、この「厳しい」にも大きな差があるのではないでしょうか。

 インタビューや試合中の指示を見ていると、トム・ホーバスHCはいつも「なぜダメなんだ」ではなく「あなたたちはもっとできるのになぜやらないんだ」と選手たちに語りかけていました。つまり、欠点を指摘するのではなく「もっとできる」を強調する。同じ厳しさでも質は全く異なるんです。

 強くなるため、勝つためにはもっと厳しく指導しなければいけない。そう考えてしまうのかもしれませんが、可能性を引き出させるための厳しさと萎縮させる厳しさは違います。その課題を克服するためには指導者だけでなく、私も含めたバレーボールに携わる1人1人が他人事ではなく自分事として考え、行動することも重要です。

競技人口が減ったら大変だ……

 オリンピックでさまざまな競技がフォーカスされ、子どもたちもいろいろな競技を知り、多くのメダリストを見て「自分もやってみたい」と思うでしょう。もしかしたらバレーボールは競技人口も減少してしまうかもしれません。

「競技人口が減ったら大変だ」とイメージはできても、未来を考えた時、そのことがどれだけの危機的状況なのか。正直に言えば、私も現役時代はよくわかっていませんでした。

 でもバレーボールを始め、続けてくれる子どもたちがいなければ部活動からバレーボールがなくなり、チームも減る。今当たり前だと思っていることが、どんどんなくなってしまうかもしれない。それは決して、子どもたちだけでなく今バレーボール選手として生活するVリーグの選手にとっても同じ危機であるはずです。

 今はまだコロナ禍で直接触れ合うことは難しい状況ですが、試合を見に来てくれた子どもたちと写真を撮る。サインをする。バレーボール教室で一生懸命、勝つことではなくバレーボールの楽しさを伝える。できることはたくさんあるのではないでしょうか。

【次ページ】 監督がベンチにいない大会

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