バレーボールPRESSBACK NUMBER

《バレーボール》なぜ男女で明暗が分かれた? 元代表・狩野舞子が語る「選択肢の多さ」と「気迫」男子はブラジル撃破なるか 

text by

狩野舞子

狩野舞子Maiko Kano

PROFILE

photograph byAFLO SPORT

posted2021/08/03 11:04

《バレーボール》なぜ男女で明暗が分かれた? 元代表・狩野舞子が語る「選択肢の多さ」と「気迫」男子はブラジル撃破なるか<Number Web> photograph by AFLO SPORT

初戦で負ったケガを押しながら出場した古賀紗理那らの奮闘も目立ったが、女子代表は予選リーグで敗退となった

 一方、プレッシャーのかかる大一番でも力を発揮した男子に対して、女子はとても悔やまれる結果になりました。

 正直に言うならば、最終戦(対ドミニカ共和国)でも「この試合に絶対勝つ」「何が何でも準々決勝に勝ち進む」という気迫が最後まで感じられませんでした。

 その前の韓国戦は、第5セットで14対12とマッチポイントを取りながら4連続失点を喫し、逆転負け。確かにこのダメージは相当大きかったはずです。

 ただ、その韓国は大会前にメンバーが代わるなど、プレーや連係にも粗さが目立ち、勝てない相手ではなかった。むしろ勝つべき相手だったと思います。

 最後の場面でもレフトへの配球が続いたことで、韓国のブロックにタッチを取られ、切り返された。決められなかった石川真佑選手や、レフトを選択した籾井あき選手に責任があると感じている方がいるかもしれませんが、決してそうではありません。

 何としても1点を取る。レフトにマークがついているのであればバックアタックやライト、ミドルを選択する。それがチームとして徹底・共有されていれば、あの大事な場面だからこそ選択できたはず。苦しい状況でも常に攻撃陣が助走に入っていた男子とは異なり、その助走すら入っていない選手もいました。

対照的だった韓国の団結

 最終セットでリードする展開、確かに焦る気持ちはよくわかります。でもそれは韓国も同じ。韓国は最後までキム・ヨンギョン選手を中心にお互いの目を見合って、やるべきことを確認できていた。絶対にできる、と自分を信じて、仲間やチームを信じてプレーした結果が、韓国勝利の要因ではないでしょうか。

 韓国戦ではケニア戦で負傷した古賀紗理那選手が復帰しました。足首の状態は絶対に万全ではない中、古賀選手には五輪に懸ける思いがプレーに現れ、目にも宿るものがあった。おそらくこのオリンピックが最後になる荒木絵里香選手もそう。この1本、この1球に対する熱がないと、世界には勝てないなと改めて痛感しました。

【次ページ】 「ミドル4人」は楽しみだったが

BACK 1 2 3 4 NEXT
#石川祐希

バレーボールの前後の記事

ページトップ