バレーボールPRESSBACK NUMBER
《バレーボール》なぜ男女で明暗が分かれた? 元代表・狩野舞子が語る「選択肢の多さ」と「気迫」男子はブラジル撃破なるか
text by
狩野舞子Maiko Kano
photograph byAFLO SPORT
posted2021/08/03 11:04
初戦で負ったケガを押しながら出場した古賀紗理那らの奮闘も目立ったが、女子代表は予選リーグで敗退となった
ディフェンス面にも触れておきましょう。
日本は、時に「こちらに跳ぶ」と割り切ったブロック戦術を用いたことで、ノーマークやブロッカーが1枚になるリスクがありました。それでもその戦術をチームで理解し、共有したことで、ブロッカーとレシーバーの連係がきちんと整備されていた。
実際にブロックを抜けた強打もリベロの山本智大選手が何本も定位置でレシーブするシーンは何度もありました。つないだボールを決め急がずにリバウンドを取ってチャンスをつくり、確実に決める。守備から攻撃への切り替えがとてもスムーズだったと思います。
予選リーグ最終戦を前に戦ったポーランドは14年と18年の世界選手権を制した国。そんな相手にも、日本はまったく気後れすることなく、攻めるべき人が攻め、守るべき人が守る。ポーランドのフィタル・ヘイネン監督が「日本は素晴らしかった」と称賛したように、“超”強豪に対しても爪痕を残すことができた。その自信が大一番となったイラン戦にもつながっていたのではないでしょうか。
実際、イラン戦では嫌な形で2セットを連取された展開でしたが、日本はひるまず、むしろ「負けたとしても後悔なく、やるべきことを全部やる」とばかりにぶつかっていった。
その象徴が第5セット、石川祐希選手の連続サービスエースでした。あの2本で「行ける!」と全員が思えた。テレビや配信で見ている私たちも同じです。まさに“祐希”がくれた“勇気”とでも言うべきか(笑)。勝てる、行ける、と全員を勢いづかせるにはこれ以上ない、素晴らしいプレー、素晴らしいサーブでした。
キャプテン対決にも注目!
今日、いよいよ準々決勝を迎えます。石川選手が「最低限の目標」と掲げてきた予選リーグを3位で突破した日本を待ち受けるのは、絶対王者・ブラジルです。決勝トーナメントは強豪国揃いですが、その中でも最強と言っていい相手でしょう。
大事になるのはイラン戦のように「最初から攻め続ける」こと。王者に胸を借りるつもりでスタートからどんどん攻めてほしいです。
また王者ブラジルのブルーノ・レゼンデ選手は石川選手が理想とするキャプテンでもあります。セッターであるブルーノ選手がチームにどのように働きかけているか。観る方にはその姿に注目してほしいですし、この大舞台で実現するブルーノ選手vs.石川選手のキャプテン対決は期待が高まります。
もちろん、日本代表がどんなプレーを見せてくれるのか。楽しみしかありません。応援しましょう。