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狩野舞子「代表選手だけでなく、組織も世界基準に」“もっと見ていたかった”ブラジル戦にあった未来へのヒント
posted2021/08/04 11:06
text by
狩野舞子Maiko Kano
photograph by
AP/AFLO
「もっと見ていたかった」
まさにこの言葉に尽きる試合でした。
バレーボール男子、準々決勝。0-3のストレート負け。世界王者のブラジルは強かった。ここぞというところで点を取りきる力はさすがで、個の力も組織力も圧倒的に日本を上回っていました。西田有志選手の渾身のスパイクをファインレシーブして、セッターにピタッと返す。そもそも、その位置に選手がいること自体が素晴らしいことなのですが、それに加えてあのレシーブ力。まさに圧巻の一言でした。
そんな最強王者ブラジルとの一戦。過去の対戦を思い出すと、競り合う場面はあったとしても、終盤に差し掛かるとつい「やっぱり無理だったか」と思うことが何度もありました。でも、今回の準々決勝は違った。ブラジル相手に、日本代表の選手たちは最後の最後まで選手が諦めていないことが伝わった。そして「まだ追いつけるのではないか」という期待感がありました。
石川祐希のサービスエース
象徴的だったのが第3セットの最後、石川祐希選手のサーブです。
劣勢をはね返し、このセットを取り返して勝つためにはサーブで攻めなければならない。石川選手のサーブはまさにそんな気迫のこもった、素晴らしいサーブでした。しかも1本だけでなく、何本も打ち続け、2本のサービスエースをもぎ取る強さがありました。
6点差から19-22まで追い上げた日本、石川選手のサーブに対して、ブラジルはリカルドルカレッリ・ソウザ選手に代えてレシーバーとしてマウリシオ・ボルゲス選手を投入。「この点差なら逃げきれる」ではなく、確実に次の1点を取って勝利するための手を打った。つまり、今の日本ならば引っくり返される可能性もあるかもしれない、と思わせたということです。