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《男子バレー》イラン戦チーム最多30得点! 西田有志に備わった強烈スパイク、サーブだけじゃない武器とは?
posted2021/08/03 06:00
text by
岩本勝暁Katsuaki Iwamoto
photograph by
Kaoru Watanabe/JMPA
決勝トーナメント進出を懸けたイラン戦。
石川祐希の強烈なサーブがミラド・エバディプルの胸元をえぐる。高く上がったボールをセッターのミルサイード・マルフラクラニがレフトに上げた。体勢を立て直したエバディプルが、十分な助走からボールに飛びつく。
そこに立ちはだかったのが、日本のオポジット西田有志だ。ネットの上にニュッと伸ばした両腕で、ボールを真下に叩き落とした。このブロックで日本は7−6と逆転、第1セットのスタートダッシュに弾みをつけた。
予選ラウンドの4試合を終え、ともに2勝2敗。この日迎えたイランとの大一番で、日本はフルセットの勝利をもぎ取ることになる。石川の勝負強さ、高橋藍の安定したサーブレシーブ、そして、セッター関田誠大の意表を突いたトスワークなど勝因を挙げれば枚挙にいとまがない。
なにより、主将の石川がチームに求めてきた“個の力”が大きく実を結んだ成果にほかならなかった。
両チーム最多の30点、その内訳
この試合で西田は、両チーム最多となる30得点を奪った。だが、強烈なスパイクやサーブばかりに目を奪われていると、彼の本質を見誤る。チーム最多の4本を決めるなど、ネット際で圧力をかけ続けたブロックでの貢献度を見逃してはならない。
西田にとってブロックは、この1年で最も強化してきたスキルの1つだった。確かにこれまでも高さはずば抜けていた。しかし、決して目に留まるようなプレーではなかった。
意識の変化が見られたのが、2020-21シーズンのVリーグだ。ライト側にポジションを取ることが多いオポジットは、必然的に相手のレフトエースとマッチアップする。さらにブロックの戦術とレシーバーの配置を連携させて相手の攻撃を防ぐトータルディフェンスをチームが構築する上で、ブロックの意識が高くなるのは自然の成り行きだった。