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【侍ジャパン】菅野、坂本、鈴木誠也らの選出に不安の声も出ているが…“調子の良さ”だけでは通じない「国際大会」の難しさとは?
posted2021/06/26 14:20
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Hideki Sugiyama
東京五輪野球の日本代表から、また1人、離脱者が出た。
左の救援要員としてメンバー入りしていた巨人の中川皓太投手は20日の阪神戦の試合前の練習中に左背部の痛みを訴え、22日に出場選手登録を抹消。精密検査の結果、左第十肋骨骨折の重症だった事が判明し25日、代表辞退を発表した。
そもそも出場選手登録がベンチ入りできる24人に限られる五輪のチーム構成では、それぞれの役割が非常に大きな意味を占める。
「彼のシンカーは左バッターには有効」
代表発表の際に稲葉篤紀監督は中川を選んだ理由をこう説明した。
要は左のワンポイントなり、左打者が並ぶシチュエーションなりでのリリーフ起用を想定しての選出である。
国際大会の経験、リリーフでの起用は未知数
代替候補としては左腕なら楽天でクローザーを務める松井裕樹投手に加えて、今季7勝を挙げているオリックスの宮城大弥投手、左のワンポイントという役割を優先して考えれば巨人の高梨雄平投手らも候補となる。また一部では左足首の靭帯損傷から復帰し、二、三軍でリハビリ登板を始めている千賀滉大投手の名前も聞こえてきている。
「後ろ(リリーバー)が必要なのか、長いイニングを投げられる投手が必要なのか、そこを含めてコーチと論議したい」
中川辞退を受けた稲葉監督のコメントである。
もちろん千賀が万全に近い状態で投げられるようになるのであれば、国際大会での経験も豊富で文句なしに選ぶことになるだろうが、それでもぶっつけ本番の危険があることは推察される。パ・リーグの首位戦線に躍り出ているオリックスの原動力となっている宮城の勢いも捨てがたいが、国際大会の経験、リリーフでの起用は未知数である。