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阪神タイガース「甲子園のリリーフカー」を作るにはいくらかかる? 職人たちのこだわり、“猛虎色”に込められた思いとは

posted2021/06/27 06:00

 
阪神タイガース「甲子園のリリーフカー」を作るにはいくらかかる? 職人たちのこだわり、“猛虎色”に込められた思いとは<Number Web> photograph by KYODO

価格は車両価格(266万円)にカスタム代が加わる

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熊崎敬

熊崎敬Takashi Kumazaki

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KYODO

『Sports Graphic Number』で好評連載中の「スポーツまるごとHOWマッチ」を特別に公開します! <初出:1022号(2021年3月4日発売)、肩書きなど全て当時>

 シーズン開幕を待つ甲子園球場には、この球場にしかない魅力がいくつもある。美しい芝と土にアルプススタンド、そして銀傘――。

 リリーフカーも忘れてはならない。

 中継ぎや抑え投手をマウンドに送り届けるリリーフカーは年々、減少している。球場の新設、改修に伴い、ブルペンがベンチ裏などマウンド近くに造られるようになったからだ。現在リリーフカーが稼働するのは、甲子園、横浜、ZOZOマリンだけ。クルマに乗って選手が登場するスポーツは野球くらい。後世に残したい光景だ。

 さて、3球場の中でも人気があるのは甲子園のホーム用リリーフカー。一度見たら忘れられない、愛らしいフォルムと鮮やかなカラーリング。2017年最優秀中継ぎ投手のマテオも「買いたい!」と目を輝かせた。

 では、実際に買うとしたらいくら?

 リリーフカーを製作したのは、業界最高峰の技術を誇るカスタムカーショップの「ジェットストローク」。代表取締役の佐々木裕一さんにたずねると、

「車両代は別にして150万円でやりますよ。リリーフカーは公道を走れませんし、球団エンブレムは権利関係もあって扱えませんが」

オリジナルレシピの完璧なタイガースカラー

 佐々木さんたちが主に行なったのは、屋根やドアの取り外しなどの加工と塗装。そう、阪神のリリーフカーは完成度の高さから一から組み立てたように見えるが、実は「スマート フォーツー」を改造したものなのだ。

「後付け感が出てしまうと、プロとしてダサいわけです。オリジナルにしか思えないくらい完成度を高めないと」

 そう語る佐々木さんと職人たちが、なによりもこだわったのがカラーリング。

「太陽光でもナイターでも、ひと目でタイガースだと思ってもらえるイエローじゃなきゃいけない。そのために微妙な調色を繰り返し、20パターンくらい塗り札を作りました」

 同社が誇るイタリア・サイマ社製の塗装ブースで、オリジナルレシピの完璧なタイガースカラーを丹念に吹きつけ、世界でたった1台の“名車”が出来上がった。

「実は発注から納期までは1カ月ほど。正直厳しかったですが、それでも受けたのは面白いと思ったからです。人生は一度きり。ならば、楽しいことをやった方がいいですから」

 大歓声の中、守護神を乗せてマウンドに向かうリリーフカー。タイガース勝利の一翼を担う、こだわりの結晶である。

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