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【侍ジャパン】菅野、坂本、鈴木誠也らの選出に不安の声も出ているが…“調子の良さ”だけでは通じない「国際大会」の難しさとは?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2021/06/26 14:20
現在、調整のため登録抹消中の巨人・菅野。東京五輪本番までに、調子を取り戻せるか
菅野、坂本、鈴木誠也らへの不安の声が流れている
中でも今季は故障禍もあり本来の調子を出せていない巨人・菅野智之投手や故障明けの同・坂本勇人内野手、また新型コロナに感染して離脱していた西武・源田壮亮内野手や今季はなかなか状態が上がらないままにワクチン接種の副反応で登録を抹消されるなど状態が心配される広島・鈴木誠也外野手の選出には不安の声が流れているのは確かだ。
また「プレミア12」当時はチームでもクローザーとして活躍していたが、その後不振から中継ぎに回っているDeNAの山崎康晃投手の選出には、一部で「稲葉監督があのときのメンバーに思い入れが強く贔屓している」などと的外れな批評もある。
ただこうした人選の背景にあるのは、やはり国際大会の難しさということなのである。
柳田悠岐のように苦もなく対応する選手もいる
例えば打者の場合は米国を主戦場とする各国の投手の動くボールへの対応だ。
今回、代表に選ばれたオリックスの吉田正尚外野手は、技術的にはいまの日本球界でトップクラスの打者であることは間違いない。それでも前回の「プレミア12」では、動くボールに手こずり20打数4安打の打率2割、0本塁打に終わっている。
ヤクルトの山田哲人内野手も国際大会ではなかなか結果が出ないで苦労してきた選手の一人で、同じく「プレミア12」では打率2割に終わった。
理由は日本の多くの打者が足を上げてタイミングを取るために、手元で動くボールになかなか対処しづらいという問題があるからだった。
中にはソフトバンクの柳田悠岐外野手のように、苦もなく対応してしまう選手もいるものの、メジャーに渡ったロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平投手ですら、渡米後にはすり足にモデルチェンジせざるを得なかった。足を上げるスタイルでも基本的にはポイントを近くに置いて逆方向に打てる今回で言えば楽天・浅村栄斗内野手やヤクルト・村上宗隆内野手のような打者か、あるいは鈴木や坂本のように、足の上げ方を変えて対応できる打者はやはり信頼できる。代表発表では第3捕手としてソフトバンク・栗原陵矢捕手と役割が被るのではと言われた日本ハム・近藤健介外野手もポイントを近くに置いてボールを長く見られる打者だ。今季はあまり成績が出ていないが、それでもその打撃と「プレミア12」では打率1割9分ながら10四球を選んで4割5分2厘という出塁率の高さを買われての選出だった。
また「プレミア12」では苦労した吉田や山田も、五輪本番は初見ではない。