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「ブレーメンでMF起用」不遇の大迫勇也が“代表初のハットトリック”で証明した自らの“戦闘スタイル”
posted2021/03/31 18:10
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
JMPA
3-0と勝利した韓国戦、それに続くW杯アジア2次予選モンゴル戦での14-0の大勝。文字通り得点力が爆発した3月の日本代表2戦。その中心にいたのが大迫勇也だった。
前線でくさびのパスを受ける巧みなポストプレーは力強く、大迫のパスはフィニッシュする選手たちにとって優しく、相手DFにとっては脅威になる。韓国戦ではゴールはなかったものの2アシスト。
「素早く、いいところへ流せたかな。起点を作るシーンが多かったので得点がなかったのはしかたがないのかなと。素直に試合に勝てたことがうれしかった」
少しだけ表情を緩ませながら大迫は「楽しかったです」と試合を振り返った。
「次のモンゴルはゴール前を固めてくる相手だが」と問われると即座に応える。
「僕はどっちかというと、そっちの方も得意なので、チームが勝てるように残り試合を頑張りたいです」
モンゴル戦では「代表初・ハットトリック」
そして、そのモンゴル戦では3ゴールを決め、ハットトリック。クラブでも未得点だったため、今季初ゴールをマークしたストライカーは、試合終了までの90分間、最前線に立ち、チームの攻撃を牽引し続けた。
パスを供給するMFやDFだけではなく、ストライカーもまたそのプレーで攻撃を形作る存在だ。後方からのパスを引き出す動き出しには、DFとの駆け引きが求められ、ポストプレーにも技術が必要だ。フィニッシュとなるシュートには冷静さがなければならない。そして、守備の起点となるのもストライカーであり、それは攻撃のスイッチにもなりうる。その任務を堂々と果たしたのが大迫だった。
「いい時間帯で点が獲れ、最後まで緩めずに前からいけた。時間を使うプレーじゃなくて、『できるだけボールを前へつけてほしい』と言っていて、それを後ろの選手がやってくれた。しっかりと点を獲ることだけを考えていた。いつもよりも中盤へ落ちる回数も少なく、前に残れたので結果がついてきた」
何点ゴールが決まろうが、ポジションを下げたプレーをすることなく、大迫が高い位置に立ち続けることで、チーム全体の意識を維持できた部分もあるだろう(もちろん後ろの選手のポジショニングによって、大迫のポジションも変わる)。モンゴルはFIFAランキング190位。同ランキング27位の日本との差は歴然だが、アディショナルタイムを含めて、攻撃の手を緩めることがなかった。それが14得点に繋がったのだ。