欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
堂安律がビーレフェルトでPKを任されるほどに信頼される2つの理由 “総予算最下位クラブ”での理想とは
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2021/02/19 11:03
1月10日のヘルタ・ベルリン戦でのビーレフェルト・堂安律。今季の更なる活躍が未来につながっていく
【2】5試合ごとのドリブル成功率の推移
さて、堂安がチームで中心となっている理由の2つ目がドリブル数だ。
こちらは、1試合少ないなかでもリーグで5番目に多く、132回を記録している。
ここまでビーレフェルトは20試合をこなしているのだが、5試合ごとの成功率の推移は以下の通り。
1~5試合目 41.6%
6~10試合目 55.4%
11~15試合目 61.8%
成功率の向上の要因として見逃せないのは、ドリブルをしかける際のバリエーションと判断の向上だ。
堂安と言えば、右サイドで開いてボールを受け、そこからカットインして、左足でシュートを打つというプレーを思い浮かべる人は多いだろう。
そうしたプレーは、ブンデスリーガの舞台でも強みとなっているのだが、むしろそれ以外のプレーが良くなっている。
中に行くとフェイントをしかけて、縦にしかけて相手を抜くプレー。あるいはカウンターのときにあえて外側に逃げるようにドリブルでボールを運んで、相手ディフェンダーを引き出して、味方のためのスペースを作るようなプレー。それらが効いている。
16~20試合目にドリブル成功率が落ちている意味
ただ、ドリブル成功率については気になる点もある。
16~20試合目(2月15日のバイエルン戦まで) 38.2%
成功率が落ちているのだ。その最大の原因は20試合目が王者バイエルン戦で、苦しい状況でボールを受けることが多かったことと、後述する右膝の負傷により前半41分に交代を余儀なくされたことだろう。本来の力を発揮する前で終わり、ドリブル成功率にも大きな影響が出た。
18試合目から各チームとの2度目の対戦に入っており、堂安のプレーを相手が研究してきているのも事実だ。
相手に対策を講じられたなかでどれだけのプレーを見せられるのか。真価を問われるのは、これからだろう。