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堂安律がビーレフェルトでPKを任されるほどに信頼される2つの理由 “総予算最下位クラブ”での理想とは
posted2021/02/19 11:03
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Getty Images
どれだけの評価と期待をされているか。一目でわかる場面があった。
1月10日のヘルタ・ベルリン戦の前半35分。アルミニア・ビーレフェルトの堂安律がペナルティースポットに立ってPKを蹴る準備を始めたのだ。
過去10シーズンで25人の日本人選手がブンデスのピッチに立ったが、PKのキッカーを任されたのは、ハノーファーとニュルンベルクの2クラブで王様として君臨した清武弘嗣と、16-17シーズンに2本のPKを蹴った長谷部誠だけだ(ドイツ杯のPK戦でキッカーを務めた場合はのぞく)。
もっとも1月のヘルタ戦では、最終的にVARを経て判定がくつがえり、ビーレフェルトに与えられたPKは取り消し。堂安のPKでのゴールはお預けとなったわけだが……。
すでにFKやCKでもキッカーを務めてきた堂安が、チーム加入から半年足らずで大事なPKまで任されるとは。相当なインパクトがあった。
堂安の存在感を証明する多くの記録
確かに、彼のビーレフェルトでの存在感は多くのところで認められている。
ブンデスリーガ公式サイトによる月間最優秀ルーキーの3人の候補にすでに3回選ばれている。
21節終了時で、「キッカー」誌の週間ベストイレブン2回(日本人では遠藤航と並んでトップ)。
もちろん、堂安の攻撃での貢献度の高さはピッチの上での数字にも表われている。例えば、以下の数字ではすべてチームトップを記録している。
・シュート数
・クロス数
・ドリブル数
さらに、ファールを受けた数がリーグ全体で2番目に多く、47回を数える。
クラブが2部から1部に上がってきたばかりの今シーズンは、ゴールキックなどで自分たちから攻撃を始められるシチュエーションをのぞけば、カウンターの回数も必然的に多くなるわけだが、そうした局面で堂安が孤軍奮闘を見せつつも、サポートの数が少ないためにファールで止められがちな部分はある。
また、2月7日に予定されていたブレーメン戦が積雪のために延期となり、ブンデスリーガの脆弱なデータベースでビーレフェルトとブレーメンの一部にバグが発生しているため、詳細な走行距離やスプリント数を紹介できないのだが、堂安が守備でも自陣のペナルティーエリアまで戻って身体を張っている姿を記憶している人も少なくないだろう。
そんな堂安がチームで中心となっている理由として、興味深いものが2つある。