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鬼才・ビエルサが負けても、批判されてもスタイルを変えないワケ【自分の信じているものと共に死ぬ】

posted2021/02/20 11:00

 
鬼才・ビエルサが負けても、批判されてもスタイルを変えないワケ【自分の信じているものと共に死ぬ】<Number Web> photograph by Getty Images

マンUに6対2と大敗したが、そんなことで自らのスタイルを変えるビエルサではない

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赤石晋一郎

赤石晋一郎Shinichiro Akaishi

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プレミアリーグ、リーズ監督マルセロ・ビエルサの人柄と戦術を日本人唯一の“門下生”である荒川友康氏(FCトレーロス所属)が語るこの連載。第5回の前編はマンチェスター・ユナイテッド戦を振り返り、ビエルサが目指すサッカーの本質に迫ります(後編はこちら。記事最終ページ下の「関連記事」からもご覧になれます)。

「リーズ・ユナイテッドはプレースタイルを変える必要があるのではないか?」

 12月20日、プレミアリーグ第14節でマンチェスター・ユナイテッドと対戦したビエルサのチームは2-6と大敗を喫したことで、メディアから厳しい批判を受けていた。14節までのリーズの失点数は30、リーグワーストの数字を記録していたことも批判に拍車をかける一因となっていた。

 大敗したマンチェスター・ユナイテッド戦では何が起こっていたのか。ビエルサの言葉、そして荒川友康氏の解説を交えながら振り返ってみたい。

 試合は開始早々から大きく動いた。2分、3分にマンチェスター・ユナイテッドのボランチであるMFマクトミネイに連続ゴールを決められ、リーズはいきなり窮地に陥ったのだ。2ゴールはいずれもマクトミネイによるダイナミックな攻め上がりによって生まれていた。

 先制パンチを浴びたリーズはその後もズルズルと失点を重ねていく。この一戦についてビエルサはこう分析する(*次節の試合前会見の言葉より)。

「試合を決定づけた選手は2名のボランチでした」

「フィジカル的な観点においてリーズは彼ら(マンチェスター・ユナイテッド)を上回りました。ポゼッションについても私たちは彼らを上回りました。それは(ポゼッションが高くても決定機を作らなければ)何の意味も持ちませんが、コンテキスト(サッカーの文脈や背景)においては何らかの価値があるものとされています。

 私たちは支配され、同様の方法で支配しました。試合では明確な優位性はなく常に均一でした。(リーズの)バランスを崩していた選手は17番のフレッジと39番のマクトミネイの2人のボランチでした。試合を詳細に見ると、この不均衡はこれら2人のプレイヤーに起因していることがわかります。私は試合の鍵が2人のミッドフィルダーにあるとは考えもしませんでした。試合を決定づけた選手は2名のボランチでした。それは私の大きな誤算でした」

 MFマクトミネイの2得点が示すように、マンチェスター・ユナイテッドのダブルボランチのパフォーマンスが試合の趨勢を決めるとは予測していなかったことをビエルサは認めている。マクトミネイもフレッジもマンチェスター・ユナイテッドのレギュラークラスではあるが、常時スタメンを張るような絶対的な主軸ではない。しかしこの試合では2人は出色のパフォーマンスを見せた。

 ポゼッションなどのスタッツで上回りながら、大敗したのは相手ボランチを抑えることができなかったことにあるとビエルサは分析したのだ。

 さらにビエルサはこう話を進めていく。

【次ページ】 デュエルにおいて上回ることが出来なかった

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