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【プレミア冬の移籍市場】コロナ+ブレグジットで、話題は余剰戦力放出&バーンリー買収だけ? 

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粕谷秀樹

粕谷秀樹Hideki Kasuya

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posted2021/01/13 17:00

【プレミア冬の移籍市場】コロナ+ブレグジットで、話題は余剰戦力放出&バーンリー買収だけ?<Number Web> photograph by Getty Images

例年では考えられないほど、静かなプレミアリーグ冬の移籍市場となっている

 B・フェルナンデスは環境適応能力に優れていた。積極的にコミュニケーションを図り、チームの輪へと入っていった。ロッカールームで絶大な影響力を持つポール・ポグバとも相性がいいという。ワールドクラスの実力者であることはもちろんだが、社交的な性格も大きなプラスだったのではないだろうか。

 どれだけのスーパースターであっても、自らの殻に閉じこもるタイプは、新しい環境にフィットするのに時間が必要になる。友人が少なく、食事が口に合わず、言葉も通じないとしたら、ピッチ上の力は半減、いや7~8割減だって考えられる。

 ましてや現在はコロナ禍だ。習慣でパーティーを催せば非難の集中砲火を浴び、孤独な反省と調整を強いられる。軽率な行動によって選手個人もしくはクラブからスポンサーが離反するリスクもあるため、対応がますます難しくなる。

トーレスもチェルシーで期待を裏切った

 そもそも即フィットが求められる冬の移籍は失敗例が少なくない。あのフェルナンド・トーレスでさえ、リバプールからチェルシーに新天地を求めた2011年冬は、期待を裏切るばかりだった。

 そして、2015年にフィオレンティーナからチェルシーへ移籍したフアン・クアドラード(現ユベントス)は家族がロンドンの生活に馴染めず、2000年代の中期にユナイテッドに多大な貢献をしたネマニャ・ビディッチやパトリス・エブラも、完全にフィットするまで半年近くかかった経緯がある。

選手1人に100億円超かけるのは、このご時世……

 パンデミックとブレグジットによってあらゆるものに規制がかかり、今冬の移籍市場は混沌としている。昨年末、バーンリーが2億ポンド(約280億円)でアメリカの投資会社『ALKキャピタル』に買収された案件が、今冬最大のビジネスになったとしても不思議ではない状況だ。

 選手1人を獲得するのに1億ポンド(約140億円)も支払うと、世間の冷ややかな視線が突き刺さる。

 この時期、いつもなら騒がしいイングランドのタブロイド紙も、例年のようには大きなアドバルーンを掲げられそうもない。

 “QUIET JANUARY”が、まもなく終わる。

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