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【プレミア冬の移籍市場】コロナ+ブレグジットで、話題は余剰戦力放出&バーンリー買収だけ?
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2021/01/13 17:00
例年では考えられないほど、静かなプレミアリーグ冬の移籍市場となっている
例えばマンチェスター・ユナイテッドはセルヒオ・ロメロとマルコス・ロホの放出を、オーレ・グンナー・スールシャール監督が認めた。両選手とも構想外で、リーグカップですら選手登録されなかった。とくにロメロは昨夏も獲得に動いたエバートンが、ふたたび注視しているという。
昨年が196億円ものの赤字だっただけに
だが、エバートンは昨夏の大型補強により、昨年の赤字が1億4000万ポンド(約196億円)に達している。
ロメロの推定市場価格は200万ポンド(約2億8000万円)と法外な金額ではないものの、この先もしばらくの間は多くの観客動員は見込めず、経済的なロスを大幅にカバーすることが不可能なコロナ禍を踏まえると、ユナイテッドとエバートン、さらにはロメロの三者がそれぞれ譲歩する必要がある。
頑なだったエジルが突然軟化したワケ
クラブが、選手が、エージェントが我を通していると、まとまる話もまとまらない。
アーセナルのエジルは、1月を迎えるまで頑なだった。
「契約が切れる2021年6月まで、ここに留まる権利がある」と主張し、幾つかのオファーに耳を貸さなかった。登録メンバーから外されたにもかかわらず、である。
しかし、突然エジルが軟化した。
トルコのフェネルバフチェ、アメリカのDCユナイテッドから届いたとされるオファーに、興味津々と伝えられている。ピッチでのプレーが恋しくなったのか、アーセナルに対する愛情が薄れたのか……。ちなみに、エジルの週給は35万ポンド(約4900万円)。経済的な抑制も急務なアーセナルは、是が非でも交渉を成立させたいところだ。
アーセナルは若手に切り替えないと!
また、アーセナルはミケル・アルテタ監督の下、新旧交代のときを迎えている。構想外となった中堅、ベテランを切り、将来を展望できる若手に切り替えなくてはならない。
コロナ禍ではひとりでも多くの選手が必要だが、組織のスリム化も求められる。人件費を踏まえても、今後はエミル・スミス・ロウ、キーラン・ティアニーといった若手を軸に据えるべきだ。
冬の移籍成功例はB・フェルナンデス
近年、冬の移籍における成功例は、ユナイテッドのブルーノ・フェルナンデスを置いて他にない。昨年1月の加入以来プレミアリーグのデータは19得点・14アシスト。この間にクラブが挙げた63得点の52.4%に関わる大活躍だ。
1990年代の中期に一世を風靡した、あのエリック・カントナに次ぐ“二代目キング”を名乗ってしかるべき存在である。