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大迫傑も“厚底”も破れなかった箱根駅伝最古の区間記録「1区」 14年前の伝説の記録を更新する条件とは
text by
加藤康博Yasuhiro Kato
photograph byNanae Suzuki
posted2020/12/28 11:02
1区を走った大迫傑。入学時から注目され4年間大きな期待のもとで走り続けた。傍には駒大の中村匠吾も
大迫傑、中村匠吾が挑んでもなお届かなかった
以後、東京五輪男子マラソン代表に内定している日本記録保持者の大迫傑(Nike)、中村匠吾(富士通)など多くの実力者がこの1区に挑んできた。しかし彼らも区間賞こそ手にしたが、佐藤の記録には届いていない。ここからも佐藤の記録更新の難しさ、そしてそこに迫る選手が出てきた近年の大学長距離界のレベルアップが見て取れる。
三浦、塩澤、吉居…1区有力候補の実力とは
では今大会、記録更新の可能性はあるのだろうか。気象条件やこの1区を担うメンバーの顔触れにもよるが、不可能ではない条件は整っていると言えそうだ。
当時の佐藤の10000mのベストは28分07秒02。1年時に3区(21.5km)を1時間2分12秒で走っているが、この時点でハーフの記録を持っていなかったので10000mを基準に考えよう。1区を担うと目されている選手では吉居大和(中大1年:10000mベスト28分08秒61)、塩澤稀夕(東海大4年:同28分08秒83)、井川龍人(早大2年:同28分12秒13)、福田悠一(創価大4年:同28分19秒26)が佐藤に近いタイムを持つ。また予選会日本人トップの三浦龍司(順大1年)も1区の可能性が高いひとり。10000mのベストは持っていないが、予選会では吉居らを抑えて日本人1位なだけに実力はこの中でもトップクラスと考えていいだろう。
また10000mで佐藤のタイムを上回る選手も多く、今大会のエントリー選手では9人(日本人は5人)。ほとんどが他区間に回りそうだが、もし1区を担えば記録更新の有力候補になる。例えば27分54秒06の中谷雄飛(早大3年)は過去2大会、ここを走っている。大きく力を伸ばした今季だが、3度目の挑戦がないとは言い切れない。ここまで示した通り、佐藤を越える、もしくは佐藤に迫るタイムを持つ選手は多い。