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爆発ヒット『地球の歩き方 東京』の“幻の五輪ページ” 「800ページで作りませんか」「君、正気か?」
text by
田口大貴Daiki Taguchi
photograph byDiamond-Big Co., Ltd/Daiki Taguchi
posted2020/11/15 17:00
『地球の歩き方 東京』は通常の海外版に劣らない情報量で話題だ
力を入れたのは「土俵の時間割」
中でも特に力を入れたのは「土俵の時間割」。8時に開場し、寄せ太鼓が響き渡るところから始まり、序の口、十両、幕内……と取組がどう進んでいくかがポップに書かれている。
宮田さんは言う。
「これを見ていたらイメージがつきますよね。国技館の周りをウロウロしていると高そうな車が来て『これは来るぞ来るぞ……』と思っていると番付の高い力士が出てきたりするんですよ。そういう力士たちの行動が見えてきます」
テレビで見られる“相撲”だけが相撲ではない。その場の雰囲気やグルメ、力士たちの土俵外での様子やもちろん身体がぶつかり合う音も、すべてひっくるめて相撲なのだ。それを「観光」として楽しんでほしい、そんな気持ちが詰まったページだ。
内容も一部をまるごとボツにしてしまった
もともと書店のオリンピックフェアに参加したいという思いで制作が決まったこの本は、オリンピック延期の影響も受けた。
発売が遅れたのはもちろんだが、内容も一部をまるごとボツにしてしまったという。コロナに消されてしまった“幻のページ”があったのだ。それはどんなページになる予定だったのだろう。
「オリンピック観戦ガイドのページを入れる予定でした。会場やチケットの種類、交通情報や観戦の楽しみ方、スケジュールも入れようと思っていました。オリンピックが終わっても『2020年ってこうだったよね』って思えるように、地球の歩き方らしく情報を詰め込みたかったんです」
斉藤さんの言葉に続いて鈴木さんも思いを口にした。
「1964年の国立代々木競技場は建物の価値が今でも評価されているけれど、オリンピックの会場に使われるってそういうことだと思うんです。国立競技場も東京アクアティクスセンターもそう。“レジェンド”としての建築物がどう残っていくのかというところも含めて紹介したいと思っていました。今回のオリンピックはそういう“持続可能な大会”ということも謳っていましたしね」