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DeNAのドラフトは競合避けて一本釣り狙い? 編成部長に“禁断の質問”をぶつけてみた 

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石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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posted2020/11/05 06:00

DeNAのドラフトは競合避けて一本釣り狙い? 編成部長に“禁断の質問”をぶつけてみた<Number Web> photograph by KYODO

DeNAのドラフト1位で指名された入江大生。指名挨拶では「球団のエースになることを目指したい」と意気込みを語った

コロナ禍での選手評価はどうやって?

 今年はコロナ禍ということもあり、どの球団もドラフト候補選手たちのチェックや評価に苦労したという。難しい作業を強いられるなか、DeNAとしてはどういった点に注意しながら、全国に散らばるスカウト陣と協議を重ねていったのだろうか。

「今年は地域によって活動再開がばらけていたので、選手たちのピークがどこで来るのか見極めるのが非常に難しい状況でした。例年であれば何度も違う視点から複数人によりチェックをするのですが、今年は見る機会もかぎられるなか、複数人でチェックしてしまうと評価に差が出てしまったりブレてしまうと考えました。ですから極力チェックする人間は1人にして、状態の良し悪しを見るようにしていましたね」

 本来であればあらゆる角度からクロスチェックしたいところだが、社会情勢もあり、その評価の大部分は担当スカウトに託された。もちろん現場の責任者である進藤や吉田孝司顧問が最終的なチェックをする。

「実際、わたしが見ていいときがあっても、吉田顧問が見たときはパフォーマンスが上がっていないこともありました。そこで担当スカウト含め、本質はどこにあるのかという話し合いはきめ細かくできたと思います」

「今回のドラフトは……」

 チームの将来的な編成に関するミーティングは定期的に行われているという。三原一晃球団代表をはじめ進藤や吉田顧問を中心に、三浦大輔ファーム監督、万永貴司ファーム総合コーチ、さらにアマスカウト、プロスカウトら各担当が育成の進捗状況や成長過程を精査し、議論することで補強ポイントを洗い出していく。この積み重ねがドラフト会議へとつながるというわけだ。

「あらためて今回のドラフトは、我々が補強ポイントとして挙げていた部分にピタッとはまる選手たちを縁あって指名できたと感じています。彼らが今後、どのように成長し、活躍してくれるか楽しみですね」

 編成やドラフト指名に関する話は、原則クローズであり戦略や思惑が複雑にからまるものだ。あくまでも選手の補充ではなく“補強”であることが大原則であり、そこに球団の能力が試される。進藤は「なかなか話せないことの多い仕事なんでね」と苦笑するが、今回指名された選手たちがいつか大成した暁には、今は見えざる意図があるならば、あらためて訊きたいものである。

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