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「ネガティブな感情は自分に跳ね返る」川崎の名将・鬼木達が大切にする「本気の言葉」とは

posted2020/10/29 11:05

 
「ネガティブな感情は自分に跳ね返る」川崎の名将・鬼木達が大切にする「本気の言葉」とは<Number Web> photograph by Getty Images

風間監督(当時=左)をヘッドコーチとして支え、2017年からその座を引き継いだ鬼木監督(撮影 2016年)

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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J1新記録の11連勝を達成した川崎フロンターレ・鬼木達監督インタビューの3回目です。(全3回の3回目/#1#2へ)

 小さい子への指導って、これほど難しいものなの?

「川崎の宝」と呼ばれ、2006年シーズン限りで現役を引退した鬼木達はフロンターレに残って指導者に転身。年中児から小学生を対象としたスクールを担当することになったが、思った以上にうまく教えられない。最初は戸惑うことばかりだったという。

「“ボールを止める、蹴る”ができる以前の子供たちを教えるってなると、どうやって教えていいかが分からない(笑)。スクールの若いコーチは選手経験とかなくても、うまく教えているんですよね。

 指導法を僕より年下のコーチに教えてもらって、同じようにやってみることから始めました。スクールのコンセプトが“楽しませる”だったんで、そこは僕も子供たちと一緒にボールを蹴って楽しくやろうとしました」

勝負の鬼が、仏の顔になった

 サッカーを一緒になって楽しもう。

 伊藤宏樹ら後輩からも怖がられた勝負の鬼は、仏の顔になって子供たちにとっても人気のコーチとなっていく。

 つい最近までフロンターレで背番号「7」を背負っていた本物なのだから、子供も保護者も喜んでくれた。鬼木はさらにクラブが立ち上げたU-12でもコーチを務めることになる。

 これには将来を見越したフロントの思いもあった。強化担当者の庄子春男はこう語る。

「プロを引退してすぐ指導者になると、実演することはできてもなかなか言葉ではうまく落とし込めない。やっぱりジュニア世代の指導から始めていけば、そういうところも学ぶことができる。そこは鬼木とも話をしながら方向性を出したとは思いますよ。

 それだけじゃなくてトップチームで活躍した選手が指導にあたるようになれば、何より子供たちにとっていい刺激になる。当然、タイミングというものはありますけど、いずれトップチームで指導してもらいたいという思いはもちろんありましたよ」

【次ページ】 みんなが1つになる大切さも教えようとした

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