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巨人・澤村拓一トレードの裏側 飼い殺しより“引き算”したほうがいい

posted2020/09/12 11:40

 
巨人・澤村拓一トレードの裏側 飼い殺しより“引き算”したほうがいい<Number Web> photograph by KYODO

キャンプ中、澤村を指導していた原監督。特に目をかけていた選手の1人だったと言えるだろう。

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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 巨人の積極補強に球界がざわついている。

 開幕直後の6月25日に若手左腕の池田駿投手と楽天のゼラス・ウィーラー内野手のトレードを成立させると、7月14日には、再び楽天とのトレードを発表。

 今度は若手の期待株だった高田萌生投手と変則左腕の高梨雄平投手の交換だった。

 そして世間をアッと言わせたのが、9月7日に発表された澤村拓一投手のロッテへの移籍である。

「補強には足し算もあるけど、引き算もある」

「澤村という選手は私にとっても非常に思い出深い、素晴らしい選手でした」

 編成の責任者でもある原辰徳監督は、決断の背景をこう説明する。

「彼の中で(移籍を)ステップアップの材料にすることが正しいことであろうと。今日も電話で話をしましたが、同じ野球界にいるという部分においては、しっかりとオレは味方だと。応援しているぜ、と。そういうところで送り出しました」

 あくまで巨人では行き詰まり、居場所を失いかけている才能を生かすためのトレードだということを強調した。

「補強には足し算もあるけど、引き算もある。選手を獲得するだけではなく、その選手のプラスになるなら選手を出す引き算もある。それも補強の一部だと思っている」

 原監督がこう語っていたのは、2018年オフにフリーエージェントで丸佳浩外野手を獲得、その人的補償で長野久義外野手を失ったときのことだった。

 生え抜きの中心選手として活躍し、選手の間でも人気者だった長野をプロテクトしなかったことには、批判の声もあった。

 ただ客観的に戦力分析を行なえば、丸が加入して外野の定位置はおろか、一軍枠からも弾き出される可能性があったのが、当時の巨人における長野の位置だったのである。

【次ページ】 選手を出すことで、その選手が生きる引き算の補強

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