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巨人・澤村拓一トレードの裏側 飼い殺しより“引き算”したほうがいい
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2020/09/12 11:40
キャンプ中、澤村を指導していた原監督。特に目をかけていた選手の1人だったと言えるだろう。
昔の巨人は「どっちかというと飼い殺ししていた」
「昔のジャイアンツはトレードに出して活躍されると困るという話になって、どっちかというと飼い殺ししていたんです。でも、監督と私は生かす道があるなら探した方がいいんじゃないかと」
高田を出した際に巨人・大塚淳弘球団副代表がこう語ったが、結果を気にして躊躇していれば球界を活性化することも、選手の転機となるようなトレードも決して実現できない。
「明日、球場に来てくれ」
トレードの連絡をしたロッテ関係者から、こう告げられた澤村は、翌日の8日にZOZOマリンスタジアムのロッテ対日本ハム戦でマウンドに立った。
ユニフォームも間に合わず、体型が似ていた福嶋明弘打撃投手の「背番号106」のユニフォームを着た澤村は、いきなり3者連続三振というド派手な“デビュー”を飾った。
夜のスポーツニュースもトップで扱ったマウンドで鬼の形相で雄叫びを上げる姿は、巨人で何度も見たあの澤村だった。テレビの画面越しに最も嬉しそうにその雄叫びを見たのは、おそらく引き算をした原監督だったはずである。