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大詰めスクデット争い。ラツィオ&
アタランタの意地vs.サッリの“タマ”。
posted2020/07/10 19:00
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
「ワシね、キ●タマがゴロゴロしているんよ」
ユベントスを率いるサッリ親分がこう言うときは、“イライラ、ピリピリしている”という意味だ。
少々品のない俗語表現だが、“ワシらは最後まで気を緩めんぞ”と内外に訴える強烈なメッセージにもなっている。
セリエAの優勝争いはいよいよ佳境に入った。
7月最初の週末、2位ラツィオと3位インテルがともにホームで敗れる波乱によって、首位ユーベはタイトルへぐっと近づいた。スクデットは今年も北都トリノに留まるのか。
真夏のセリエA最終決戦を占ってみたい。
好調だったラツィオが今や満身創痍。
今季のタイトル争いを盛り上げてきたラツィオは、今や満身創痍だ。
シモーネ・インザーギ体制になり5シーズン目のチームは成熟し、21試合連続不敗記録を打ち立てながら20年ぶりのスクデットへ邁進した。
堅い中盤からサイド攻撃を経て、得点王レースのトップをいくエースFWインモービレのフィニッシュに至るまで、完成度の高いプレーでカンピオナートを魅了してきた。
前半戦のカードに続き、昨年12月のイタリア・スーパー杯でもユベントスを完全撃破。敗れた敵将サッリに「ラツィオこそが今、全欧州で一番ノッているチーム」と言わしめたほどだ。
だが、主力を酷使せざるをえない限られた戦力層とコロナ禍によって長引くシーズンに増加する一方の故障者が、ラツィオの足枷になった。
3カ月超の中断期を経て再開したリーグ戦では、5人まで交代できる今季限りの特例が認められているが、この措置はむしろ戦力格差を浮き彫りにしている。