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サムライブルーの原材料BACK NUMBER
W杯メンバー発表直後にアキレス腱断裂…中山雄太(28歳)がいま明かす日本代表への思い「ドレッシングルームで次のW杯のことを考えました」
posted2025/04/12 17:01

J1で首位に立つFC町田ゼルビアを牽引する日本代表の中山雄太(28歳)が語るW杯への思いとは
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Shigeki Yamamoto
W杯メンバー発表直後に大ケガ
あの大ケガさえなければ、中山雄太はカタールワールドカップの大舞台を踏んでいたはずだった。
2022年11月1日、本大会に臨む26人のメンバーが発表され、中山もその一人に名を連ねた。だがその2日後に、運命は大きく変わる。イングランド2部ハダーズフィールドでプレーする彼はサンダーランド戦でプレー中に右足首を負傷して担架で運ばれた。
「アキレス腱を切った人は、その瞬間分かるって言うんですけど、僕は別の箇所の痛み止めを飲んでいたためか音は聞こえても痛み自体はなかった。担架だから(映像で)映されるだろうなと思って、顔を隠して出ていきました。どんな表情をすればいいか分からなかったので」
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大ケガであるかどうかはまだ半信半疑であった。ドレッシングルームに戻って医師の診断を受け、「アキレス腱が切れている」と告げられる。普通ならあまりのショックで、失意に沈んでもおかしくない。だが中山はそうではなかった。キャリア初の大ケガであっても音速で気持ちを切り替え、カタールを飛び越えて2026年のワールドカップを新たな目標に置いている。
「雑に言いますと、落ち込んだところでケガは治らないし、根本的な解決にもならない。ドレッシングルームでは次のワールドカップのことを考えました。病院に行って、アキレス腱断裂と診断されて、携帯電話で調べてみたんです。分かったのが(復帰まで)結構掛かりそうだな、と。ここから3年半しっかり準備して次回ワールドカップを目指すとなったら、必然的に落ち込む時間もありませんよね。僕がまだ小さい頃、何か(マイナスなことが)起こると悔しいとか悲しいという感情がありましたけど、キャリアを重ねていくにつれてこれからどうすべきっていうふうに考える癖がついたのかなとは思います」
苦難のストーリーにはまだ続きが…
当然、本大会メンバーからの辞退を余儀なくされ、心配で連絡をくれた選手たちからは「元気過ぎてびっくりされた」という。空元気ではなく、ヤル気に満ちていた。森保一監督にも「全力で応援します」と直接伝え、その言葉どおり1試合1試合、映像で観ながら心の底から日本代表の勝利を願い続けている。ドイツ代表、スペイン代表を撃破した事実は、リハビリとの戦いにおいても励みにもなった。