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大詰めスクデット争い。ラツィオ&
アタランタの意地vs.サッリの“タマ”。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2020/07/10 19:00

大詰めスクデット争い。ラツィオ&アタランタの意地vs.サッリの“タマ”。<Number Web> photograph by Getty Images

ロナウドら多士済々の面々を手懐けながら、ポゼッションを展開する。サッリ監督はユーベで栄光をつかむことができるか。

COVID-19に苦しんだ地元の光に。

 アタランタの本拠地であるベルガモ近辺は、国内最大のCOVID-19感染中心地なのだ。クラブ関係者にも地元ファンにも大勢の犠牲者が出た。

 リーグ戦再開と前後して、ドイツ人DFゴセンスもコロンビア人FWムリエルも、国籍に関係なくベルガモの町への思いを口々に語った。インタビューやSNSで選手たちは、異口同音に"俺たちのプレーで犠牲者を出した家族や町を勇気づけたい"ということを切々と語りかけていた。

「この町がコロナ禍で失ったものは、計り知れない。失われてしまったものの代わりには決してなれやしないけれど、俺たちは最後の試合まで全力疾走する姿を見せる」(主将ゴメス)。

 どこよりもコロナの恐怖を味わった自分たちに、今さら怖れる敵などあろうはずがない。どんな強敵であっても必ず勝どきを上げ、今なお打ちひしがれる町の人たちをほんのいくばくかでも喜ばせたい。そんな覚悟が、アタランタのプレーぶりに現れている。

上位4クラブのうち3監督が出場停止。

 気合いが入りすぎたのか、指揮官ガスペリーニは再開1試合目のサッスオーロ戦で主審の判定に抗議して退場処分を受けた。

 元々激高しやすい性格だが、無観客による試合中の静寂は選手たちに指示を通し易い反面、これまでは歓声やノイズにかき消されてきたベンチからの野次や抗議がレフェリーに筒抜けになる反作用ももたらした。

 好青年の見本のようなインザーギ監督もリーグ戦再開2戦目のフィオレンティーナ戦で判定に不服を唱え、レッドカードを受けた。インテルの闘将コンテも黙ってはいない。再開後最初のサッスオーロ戦でやはりレフェリーへ文句を吐いて警告を受け、累積処分により第28節パルマ戦のスタンド観戦を余儀なくされている。

 つまり再開直後のセリエAでは上位4クラブの監督のうち3人までが、揃いも揃って出場停止処分を受ける椿事が起こっていたのだ。

 こうなると、ナポリ時代に毎年出場停止処分をくらっていたサッリ親分が、暴言退場の連鎖反応に引っかからないのは奇妙に思えてくる。

 ちなみに、ボローニャとのリーグ再開初戦を裁いたロッキ主審は、ユベントス・ベンチからの野次を聞き逃さず、チームマネージャーを退場させている。

【次ページ】 クリロナが王様の限りは……など雑音。

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