ブンデス・フットボール紀行BACK NUMBER
苦しみぬいた大迫勇也の今季総括。
内なる激情が極限まで達した瞬間。
posted2020/07/10 11:50
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph by
AFLO
ドイツ・ブンデスリーガは6月27日に無事最終節を終え、バイエルン・ミュンヘンが前人未到の8連覇を達成して幕を閉じました。一方で、17位のフォルトゥナ・デュッセルドルフと18位のパーダーボルンが2部へ自動降格しました。
そして、最終1.FCケルン戦で大勝した大迫勇也所属のベルダー・ブレーメンは土壇場でデュッセルドルフを抜いて16位にランクアップし、2部3位のハイデンハイムとホーム&アウェーのレリゲーションマッチ(1部・2部入れ替え戦)に挑むこととなりました。
その結果は、7月2日のホームでの第1戦をスコアレスドローでしのいだブレーメンが7月6日のアウェー第2戦で貴重なゴールをゲットした末に2-2で終え、辛くも1部残留を決めました。
期待された新エース、大迫勇也。
ブレーメンを率いるフロリアン・コーフェルト監督が残留決定後の会見で吐露した言葉は、チームが辿った激動のシーズンを端的に表しているかのようでした。
「ジェットコースターというよりも、長時間フリーフォールに乗っていた気分だったよ」
今季、これほどまでにブレーメンが低迷すると予想した人がいたでしょうか?
バイエルンやボルシア・ドルトムント、進境著しいRBライプツィヒや、資金力のあるバイヤー・レバークーゼンなどと比べると戦力に不安はありましたが、それでも昇格組のパーダーボルンやケルン、また限られたクラブ資産で運営を続けているデュッセルドルフ、マインツ、アウクスブルクなどと比べれば、中位は確実と見られていただけに、予期せぬ乱気流に飲み込まれたような指揮官の心情は十分理解できます。
2018-19シーズンに8位となったブレーメンは、生え抜きの指導者であるコーフェルト体制3シーズン目の今季、一層の飛躍を期してリーガに臨んだはずでした。
特に注目されたのはマックス・クルーゼのフェネルバフチェ移籍によって、指揮官から新エースに抜擢された日本代表FWの大迫勇也で、彼は内外から多くの期待をかけられ、本人もそれを意気に感じていたようにも思います。