フランス・フットボール通信BACK NUMBER
監督は「ドリブラー」をどう扱うべき?
世界的指導者らのコメントを一挙公開!
posted2020/07/12 09:00
text by
アントワーヌ・ブーロン&ティモテ・ピノンAntoine Bourlon et Thymote Pinon
photograph by
Alexis Reau/L'Equipe
『フランス・フットボール』誌5月5日発売号の巻頭特集は、4月27日に心臓発作のため81歳で亡くなったロベール・エルバン(サンテチェンヌのキャプテン、監督。'60~'70年代のサンテチェンヌ黄金時代を築いた)を、14ページにわたり追悼している。少し前、やはりコロナ禍の時期に亡くなったミシェル・イダルゴ(EURO1984優勝監督)やパップ・ディウフ(元オリンピック・マルセイユGM)のときもそうだが、日本とフランスのスポーツメディアの大きな違いのひとつが、亡くなった著名人への追悼である。質においても量においてもフランスは日本とは比較にならない(イダルゴも14ページ、ディオフは12ページをFF誌は追悼に費やした)。また、フランスでは、自社で活躍した著名ジャーナリストも、大きなスペースを割いて追悼することも珍しくない。
と、書いていたら友人の訃報が飛び込んできた。リシャール・マルタン。レキップ紙のエース・フォトグラファーのひとりである。享年54。その早すぎる死に、7月8日付の同紙はまるまる4ページを割いて、業績を讃え敬意を表したのだった。
さて、第1特集がエルバン追悼だったこの5月5日号の第2特集は《ドリブラー》である……本来ならこちらが第1特集だったのだろう。28ページを使って、今日では奇特な存在にもなりつつあるドリブラーという人種の実態をさまざまな角度から分析している。
今日のサッカーにおいて個としての表現とチームプレーのバランスをどうとるかは、ドリブラー本人と監督に課せられた大きな課題である。その課題を、世界トップクラスの監督たちはどう考え、どう対処しているのかを、アントワーヌ・ブーロン、ティモテ・ピノン両記者がレポートしている。ヴァイッド・ハリルホジッチをはじめとする監督たちのコメントのみを、ここでは抜粋してお伝えする。
監修:田村修一
監督というものは宿命的にドリブラーに悩まされる。
ドリブラーは人目を惹く。
またドリブルというプレーは、個の才能とコレクティブな指示の順守の均衡の上に成り立っている。
そのバランスを得るために、監督はしばしば細心の注意を払う。
以下、そんな監督達によるドリブラーに対する考えについての記述を並べる。