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佐藤勇人にとってオシムは今も絶対。
「情けなくもあるけど、正直な気持ち」
posted2020/06/06 11:40
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph by
Tamon Matsuzono
イビチャ・オシムと関わった人間は、誰も例外なく大きな影響を受ける。サッカー人生が変わり、人間としての人生も大きく変わっていく。それは幸福なこと、幸運なことなのだろうと思う。オシムと出会えたことが。
佐藤勇人もそんな人間のひとりである。オシムと出会い、オシムの薫陶を受け、オシムチルドレンと呼ばれてオシムのサッカーを体現したことが、彼のサッカー人生を劇的なまでに変化させた。そしてオシムは今も彼の中で確固たる存在として生き続けている。
おそらく誰もが自らの中のオシムと死ぬまで対話を続けて行く。ペップ・グアルディオラの中のヨハン・クライフがそうであるように。ティエリ・アンリの中のアーセン・ベンゲルがそうであるように。
当時感じていたこと、今だからわかること、今だから聞きたいこと……。勇人がオシムへの心の内を語った。
オシムはどこまで先を見ていたんだろう。
――まずは確認ですが、勇人さんにとってジェフが一番強かった時代というのはオシムさんの時代でいいのですよね。
「はい、間違いないです」
――見ていても、ダイナミックでワクワクするサッカーでした。あとで考えたときに、ヨーロッパのトップレベルでやっているサッカーを、当時のジェフはやっていたのかなと。
「オシムさんがジェフにいたときからこれだけ時間がたっている。なのにここ数年のヨーロッパのサッカーを見ていると、あれ、これは自分たちがやったサッカーに近いなと思えるシーンが多くて。具体的にあげるとイタリアのアタランタだとか、アヤックスであったりとか。改めてイビチャ・オシムという人は、どこまで先を見ていたんだろうと」