ジェフも代表も途中で終わってしまった。

――オシムさんと一緒に戦って成績が良くなっていくなかで、手応えを感じたときというのは覚えていますか。

「もちろんリーグ戦もそうですが、実は、リーグ戦に出ていないメンバーの練習試合だったり、週の中日の練習試合――だいたい大学生とか社会人チームとやるんですけど、そこでも圧倒的な強さを見せられたのはオシムさんのときだけだったんです。

　普通、どこのチームもそうだと思いますが、プロが格下とやるときは少し緩みが出てしまうことがある。それが一切なかったのは、自分たちの頭の中をオシムさんが変えてくれたからだと思います」

――どんな相手とやるときも緩まずにやれるというように、意識が変えられていた？

「ただ、そういう風に言葉で言うことはまずなかったです。『どんな相手にも100％でやらなければならない』とか、そういうことは一切言わない。言わないけど、自然とそうなっていった。

　決して休むことなく、どんなことがあってもどんな状態であろうと、ピッチに立ったら100％でやるのがサッカー選手だというのが、自分たちの身体の中に沁みついてきたんです」

――ああいう風に倒れられて、ジェフも代表も途中で終わってしまった。チームも選手も、そのまま行ったらもっと伸び切れたものが途中で終わってしまったのかなという風にも感じたんですが。

「それはあります。ジェフに限らず日本代表の選手も、みんな同じように言うのが『もっと学びたかった』と。それはサッカー選手としてピッチの上のこともそうですが、人生の生き方も含めてオシムさんからもっと学びたかったし、もっと一緒にいたかった。それは選手一人一人も、ジェフというクラブも、日本サッカー全体もそうだと思います」

――そこがとても残念だなというか、あのままもっと続いていれば、日本サッカーにかかわる人みんながもっと成熟できたのではと思っていて。

「そうですね。ただそれをオシムさんに言うと怒られそうで（笑）」

――自分で考えろ、と言いそうですね（笑）。

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