マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
ドラフト指名ボーダーの選手たちを
大学の監督が自らプレゼン!4/4
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![安倍昌彦](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/6/3/-/img_63c0172edf1a3eec5d5017836b5eb9301895.jpg)
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byCHUKYO UNIVERSITY
posted2020/05/28 11:30
![ドラフト指名ボーダーの選手たちを大学の監督が自らプレゼン!4/4<Number Web> photograph by CHUKYO UNIVERSITY](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/5/b/700/img_5be61144dfde20487498482cdf5c36bf150243.jpg)
中京大学の山本一輝投手。180cmと上背はそこそこだが、プロでこそ輝く素地は確かに持っている。
フルカウントでこそベストボールを投げる。
昨年の全日本大学野球選手権、日本文理大・藤野幹大投手(191cm78kg・右投右打・福岡一高)は、「全国」の大舞台での初先発で、大阪商業大を6安打11奪三振の2点に抑えた。
全国大会の常連を向こうに回し、全くひるむことも過剰に気負うこともなく、試合終盤まで毅然とした顔つきとマウンドさばきで、「エース」としての仕事を全うしてみせた。
「春先に機械で測ってもらったら、藤野って、99から100%同じポイントでボールを放してるんだそうです。すごいでしょ、あの長身とあの手足の長さですよ。どのボールにも同じように、しっかり指がかかってるわけで、空振りのとれる速球の典型なんです。
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たいして強く投げてないのに手元でビュッと来て、藤野ってあいつ、フルカウントからベストボール投げられるんですよ。大試合のここ一番で、ベストボールが投げられるピッチャーなんです!それって、ピッチャーの“財産”じゃないですか!」
いつもは、結構クールにチームの選手のことを分析してくれる中村監督なのに、今日は珍しく、ほんとに高揚している。
「地上にある変化球、全部投げますよ」
「打席に立たないと、凄さがわからないタイプかもしれない。あれだけ大きな変則投手なのに投げ損じはないし、ボールは勝手にグネグネ曲がるし、あいつ、変化球にメチャメチャ興味持ってるんですよ。決して、スピードにばかり走らない。たぶん、地上にある変化球、全部投げますよ。
よく、打者の近くでキュッと曲がる変化球がいいとか言うじゃないですか。藤野の場合は、速球以上に指で切って投げますから、速球以上にスピンがかかってるんで、近くで大きく曲がるんです。しかも相手のレベルと自分の調子に合わせて、変化球の曲がりとスピードを調整できる……そのさじ加減が絶妙なんです」
話を聞きながら、この大型サイドハンドを選んでよかったなぁ、と思い始めていた。
監督さんが、こんなに嬉しそうに語り続けている。