マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
ドラフト指名ボーダーの選手たちを
大学の監督が自らプレゼン!4/4
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byCHUKYO UNIVERSITY
posted2020/05/28 11:30
中京大学の山本一輝投手。180cmと上背はそこそこだが、プロでこそ輝く素地は確かに持っている。
上のレベルになるほど輝く球筋。
夏の甲子園予選では、1回戦を勝ったり負けたり……。それでも無名の東郷高から中京大の練習参加にやって来た時は、すでに137、8キロ。速球には、抜群のバックスピンを帯びていたという。
「その時は細かったんですよ、まだ。でも『中京大でやりたいのか?』って訊くとしっかり返事もできるし、実際、練習しながら10キロ近く体を大きくして入学しましたからね。即戦力だと思いました」
動じない性格、今は「怖いもの知らず」というのがほんとのところでは、と半田監督のお見立てだ。
「大きな舞台に力を借りた時のほうがいいピッチングできるっていうんですか。逆に、普通のリーグ戦で、『ええ、なんで!』って時もあって……(笑)」
最大の長所は、やはり速球の質。それも、ベースの一塁側に確かな球筋を持っているという。
「右打者の外、左打者のふところですね。そこを突く速球がいちばん強い。左腕はクロスファイアーってよく言われますけど、上のレベルだと、なかなかストライクにとってくれないことがありますから。クロスも強さありますけど、その逆のボールがもっと強いっていうのは、かなりのアドバンテージになるはずなんです、上のレベルになればなるほど」
高校の公式戦経験ゼロからプロ志望の右投手。
中京大では、さらに初祖晋太郎投手(184cm88kg・右投右打・中京大中京高)と、河田航平外野手(ルビ・かわだこうへい)(178cm76kg・右投右打・中京大中京高)の2人がプロ球界を志す。
「初祖は高校の時の公式戦経験、ほぼゼロです。いいとか悪いとかじゃなくて、高校3年間では、試合で投げられるボディバランスを養う時間が足りなかったんだって解釈してます。それが、大学のプラス2年、3年でだいぶ出来てきた。140キロ後半の球道が、だいぶ安定してきました」
50m6秒そこそこ、抜群のジャンプ力、種目を問わずスポーツ万能……身体能力は投手陣の中でも抜けてNo.1だという。
「この冬は毎日投げて、ボールの感覚を指先がだいぶ覚えてきました。あの体格であのバネですから、150kmなんてあっという間でしょう。実績のない子ですが、次のレベルで飛躍する力は十分秘めてます。そのために今は基礎体力、基礎技能をしっかり仕込んでいるところなんです」