プロ野球亭日乗BACK NUMBER
夏の甲子園、中止がほぼ確実に……。
代わりの公式戦をどう行えばいいか。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2020/05/18 11:40
昨年の夏の甲子園で優勝を飾ったのは履正社だった。この舞台に立つチャンスさえなくなると、高校球児の無念はいかばかりか……。
日程的には余裕のある試合の組み方ができる。
まず選手自身や監督、コーチ、関係者の健康チェックの徹底と管理。移動では自前のバスがあればいいが、公立校等でそうした独自の移動手段がない場合には、公共交通機関を使って試合会場まで移動するのか。またバスがあるとして車内換気や座席の座り方などのマニュアルも必要だ。
球場ではチームの入れ替えのやり方やベンチ等の消毒の仕方、ベンチへの動線の確定にロッカー使用を禁止してスタンド等での着替えなども考えなければならないかもしれない。
1つ、プラスな側面としては甲子園大会がなければ、日程的にはかなり余裕のある試合の組み方ができるということだろう。
基本的には週末を使いながら7月から8月一杯までかけてゆっくりとしたペースで試合を組めば、授業を妨げることも防げる。
さらに夏場の熱中症対策や投手の肩の疲労という点でも、少し余裕のある大会になるはずだ。何より疲労は免疫力低下の大きな要因ということを忘れてはならない。
選手のために大会をやるなら、できるだけ万全な体調を維持できる環境を整えるバックアップが地区高野連には求められるわけだ。
そのことを日本高野連が全国の各地区高野連に示して、きちっとしたマニュアル作り、提示する。それが地区大会開催の必須条件となるはずだ。
試合を行うための必要不可欠な条件。
夏の大会も中止というのは、いうまでもなく苦渋の決断である。これがどれほど重く、選手たちにとっては、どれほど絶望的なものであるかは言うに及ばないだろう。
だからこそ、選手たちの痛みを少しでも救済するために行う地区大会は、感染予防が緩んではならないのだ。
もちろん感染者は出るかもしれない。感染拡大の第2波がいつ襲ってくるかも分からない。
しかし感染しない、感染させないための十二分な準備だけは、試合を行うための必要不可欠な条件なのである。だからこそ日本高野連はきちっとした新型コロナウイルス対策ガイドラインを策定して、全国の地区高野連に示すべきなのだ。
高校野球として試合をやるための道標を作る。それを頼りに甲子園を失った球児たちの救済は始まるはずである。