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夏の甲子園、中止がほぼ確実に……。
代わりの公式戦をどう行えばいいか。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byHideki Sugiyama

posted2020/05/18 11:40

夏の甲子園、中止がほぼ確実に……。代わりの公式戦をどう行えばいいか。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

昨年の夏の甲子園で優勝を飾ったのは履正社だった。この舞台に立つチャンスさえなくなると、高校球児の無念はいかばかりか……。

「安心、安全、そして命を守ることを選んだ」

 そしてもう1つは選手や関係者の健康問題である。

 すでに同じ高校生のスポーツの祭典となるインターハイの中止が決まり、8月に予定されていた全日本大学野球選手権大会も開催を見送ることを決定された。

「この決定は夢を奪うことではなく、安心、安全、そして命を守ることを選んだ結果だ」

 これは4月26日にインターハイの中止を発表した全国高等学校体育連盟の岡田正治会長の言葉だが、この発言がすべてである。

プロ野球との決定的な違い。

 緊急事態宣言が39県で解除され、プロ野球は6月中旬から下旬にかけての開幕を目指して動き出している。ただプロ競技はあくまで興行で経済活動だ。だからこそこの状況でも感染リスクを最大限に排除して試合開催を目指すことに理由がある。

 そこが高校野球との決定的な違いである。

 春に続いて夏までも全国大会が中止となれば、3年生は甲子園のない学年となり、ここを目標に練習を積み重ねてきた選手たちの心中は察するに余りある。

 ただ、1つだけ言えるのは、インターハイ中止で同じように全国大会の夢を断たれた他の部活動の選手たちも同じだということだ。彼らは「夢」ではなく「安心、安全と命を守ること」を最優先された。

 それは高校球児にとっても、全国大会を中止するに同等の重さだということだ。

 中止決定は「夢」を奪ったのではない。

「安心、安全と命」を守ことが最優先された結果であり、厳しい判断だが決断は評価されて然るべきものなのである。

 そして問題はこの重い決断を、どう先につなげていくかということではないだろうか。

【次ページ】 各地区で無観客での公式戦開催か。

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小倉好正

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