プロ野球亭日乗BACK NUMBER
夏の甲子園、中止がほぼ確実に……。
代わりの公式戦をどう行えばいいか。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2020/05/18 11:40
昨年の夏の甲子園で優勝を飾ったのは履正社だった。この舞台に立つチャンスさえなくなると、高校球児の無念はいかばかりか……。
各地区で無観客での公式戦開催か。
高野連は全国大会が中止となったときには、無観客でこれに変わる公式戦の開催を各地区に要望することになりそうだ。
ただ、全国大会が中止されたことで、単純に予定されていた各県大会を日程をずらしてやればいいというものではないはずである。
1番大切なのは、感染予防策の徹底だ。
プロ野球も11日に行われたJリーグと合同の「新型コロナウイルス対策連絡会議」を受けて、12球団代表者会議で開催に向けたガイドラインの制定に着手することを表明。次回22日の代表者会議までに概要をまとめる方向で動いている。
韓国プロ野球の感染対策マニュアル。
このガイドラインの参考とされているのが、すでに開幕している韓国プロ野球(KBO)の感染対策マニュアルだ。
このマニュアルは新型コロナウイルスの概要、KBOとしての対策基本方針、プロジェクトチームの運営方針とともに選手、関係者の遵守事項、発症の恐れのある場合の対応、メディアの取材、中継ガイドラインなどが含まれ、全部で44ページ、9項目にも及ぶものとなっている。
特に選手、関係者の遵守事項では毎朝起床後と球場に向かう前の検温を義務付けて、独自アプリに入力して一括管理することや、選手だけではなく家族の健康管理の報告義務もある。
また専用バスでの移動の義務付け、ビジターチームの球場での動線の管理や選手同士の接触の規制など、事細かなルールが規定されている。
高校野球でも各地区大会向けに同等なものが全国統一で必要なはずである。
実は新型コロナウイルスの感染危機が伝えられてから、各高校の野球部でもリスク管理に取り組んではいる。ただ「プロに比べるとどうしても基準が緩くなってしまう」という話をアマチュア野球の関係者から聞いた。
うがい、手洗い、マスクなどの徹底は常識だが、それ以外にどういうことをすればいいのか? またそうした感染対策を監督や数人の指導スタッフで細かく管理することが、なかなか困難だという話だった。
甲子園大会に代わる公式戦を行うのはもちろん大賛成である。ただ、感染対策を徹底しない、十二分な準備がないところに、高校生を晒すというのは無謀としか言いようがないということだ。