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イチローが21世紀に刻む大記録とは。
MLBで異次元だった「魔法の杖」。 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byNaoya Sanuki

posted2020/04/09 11:40

イチローが21世紀に刻む大記録とは。MLBで異次元だった「魔法の杖」。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

クリーンヒットから俊足を生かした内野安打まで。イチローの単打は美しい記憶として残っている。

ボッグス以外はほぼ明治時代の人。

 10傑11人にイチローの名前が出てくるのは計4回。2004年の225単打は、MLB最多安打記録を更新して262安打を打った年だ。2位と19本差。まさにダントツだ。

 MLB史上単打を200本以上打ったのは3例しかないが、そのうち2例がイチローである。「200安打」でさえも難しいのに、シングルヒットだけで200本を打ったのだ。

 このランキングを見てしみじみ思うこと。イチロー以外の選手は、はるか昔の選手だということだ。

 イチローとともに200単打を打っているウィリー・キーラーは1872年生まれ。日本の元号で言えば明治5年生まれ、明治25年にメジャーデビューし、明治43年に引退している。日清日露戦争の時代だ。

 これに次ぐロイド・ウェイナーは、1906年、明治39年生まれ。現役は昭和2年から昭和20年だった。

 ジェシー・バーケットはさらに古い1868年(明治元年)、日本では鳥羽伏見の戦いをやっているころに生まれて明治23年から38年まで現役だった。

 ウェード・ボッグスは私も記憶がある。1958年生まれ、1982年から'99年まで活躍した。イチローは、21世紀にあっては他の選手とは「次元の違う」野球をしていたのだ。

2001年から10年連続で単打王。

 ちなみにイチローは2001年から2010年までアメリカン・リーグの「単打王」を独占している。

2001年/192単打
(242安打 34二 8三 8本)
2002年/165単打
(208安打 27二 8三 8本)
2003年/162単打
(212安打 29二 8三 13本)
2004年/225単打
(262安打 24二 5三 8本)
2005年/158単打
(206安打 21二 12三 15本)
2006年/186単打
(224安打 20二 9三 9本)
2007年/203単打
(238安打 22二 7三 6本)
2008年/180単打
(213安打 20二 7三 6本)
2009年/179単打
(225安打 31二 4三 11本)
2010年/175単打
(214安打 30二 3三 6本)

 なお今回調べてみて分かったのだが、青木宣親はブリュワーズ時代の2013年、140単打でナ・リーグの単打王になっているのが興味深い。

【次ページ】 ローズ、ジーターらと比較して。

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