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イチローが21世紀に刻む大記録とは。
MLBで異次元だった「魔法の杖」。 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byNaoya Sanuki

posted2020/04/09 11:40

イチローが21世紀に刻む大記録とは。MLBで異次元だった「魔法の杖」。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

クリーンヒットから俊足を生かした内野安打まで。イチローの単打は美しい記憶として残っている。

唯一2000単打超えしたのはあの人。

 最後に、キャリア通じてのNPB単打数トップ10も紹介しよう。

<NPBの単打数10傑>

1 張本勲 2089単打
(3085安打/67.7%)
2 石井琢朗 1907単打
(2432安打/78.4%)
3 野村克也 1824単打
(2901安打/62.9%)
4 立浪和義 1784単打
(2480安打/71.9%)
5 宮本慎也 1773単打
(2133安打/83.1%)
6 福本豊 1771単打
(2543安打/69.6%)
7 荒木雅博 1709単打
(2045安打/83.6%)
8 土井正博 1667単打
(2452安打/68.0%)
9 川上哲治 1663単打
(2351安打/70.7%)
10 衣笠祥雄 1643単打
(2543安打/64.6%)

 NPB唯一の3000本安打の張本勲が、単打も唯一2000本を超えている。しかし単打の比率でみると、荒木雅博や宮本慎也の方が上だ。

 ただ荒木や宮本は守備での貢献度が高く、現役生活を長く続けたことで安打数、単打数が増えた「永年勤続型」。イチローとはタイプがちょっと違う。

 ちなみにNPB時代のイチローは、926単打(1278安打)で単打率は75.8%だった。MLB時代よりも長打が多かったことがわかるだろう。

 イチローは圧倒的なパワー野球のMLBに移籍して、自らの「安打を打つ能力」にさらに磨きをかけたのだ。「ウイザード(魔法の杖)」と言われたバットコントロールで、ありとあらゆる種類の安打を打った。

打撃の基本はやっぱり「安打」だ。

「野球はやっぱりホームランだ。イチローの貢献度はそれほど高くない」と言う人もいる。セイバーメトリクスこのかた「長打偏重」が進んでいるが、それでも野球は出塁することが基本だ。もしホームランは出ても、安打が少なく四球を選べない打者は、チームの信頼を得ることはできない。

 そう考えると、打撃の基本はやっぱり「安打」なのだ。

 かのタイ・カッブは「50cm先に転がしたヒットと、50m先に飛ばしたヒット。この両方が同じヒット1本として扱われることは、野球のルールの最も素晴らしい部分である」と言っている。

 イチローはまさにこれを体現したといえよう。「単打王」の称号で讃えたい。

 
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