プロ野球亭日乗BACK NUMBER
順調なのはエース菅野智之だけ……。
巨人先発陣、立て直しの3つのテーマ。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2020/03/20 11:50
先発陣のなかでオープン戦を通して順調だったのはエース菅野だけだった。その他の投手は開幕までにどれだけ立て直せるか。
先発陣のポイントとなる3つのテーマ。
「それがどうした!」
指揮官が開き直った(!?)背景には、こうした納得の星があったからなのだろう。
そこで本題――。
「まあ投手陣ですね。特に先発。そこをどう組み立てていくかでしょう」
新型コロナウイルスの感染拡大で開幕が大幅に遅れる中で、オープン戦最下位からしばらくできた猶予期間のテーマを原監督に尋ねた際の答えだ。
先発陣でオープン戦期間を通して順調だったのはエースの菅野智之投手だけ。2番手以降に期待されている投手たちがどれだけ開幕までの残り期間で仕上げてくるか。
原監督が指摘する先発陣で、ポイントとなる3つのテーマを整理してみる。
日本のボールとマウンドへの順応。
【ポイント1 サンチェスの実力】
オープン戦ではその実力に疑問符が投げかけられていた新戦力のエンジェル・サンチェス投手に対して、原監督はこんな見方をしていた。
「ボール自体は悪くない。昨年の韓国プロ野球でのいいときのビデオを見ると、彼はすごく“球持ち”のいいピッチャーなんだけど、まだリリースポイントが早い。その辺はボールやマウンドへの慣れだと思うので、そこが調整されてくれば結果は出てくると思います」
“球持ち”がいいとはリリースポイントが打者寄りで、長く球を持っていられるということ。そうすると真っ直ぐのスピードと切れも増すし、変化球の曲がりも遅くなって手元で変化するので打者は打ちづらい。そこがサンチェスの最大の特長だということだ。
確かにオープン戦ではいい球と悪い球が両方出ていて、いいときは真っ直ぐのスピードも150km前後出ているし、カッターやフォークなどの変化球の曲がりも鋭い。
「“球持ち”がいいから制球が大きく乱れることもそんなにないと思う。外国人投手にありがちなフォアボールから大崩れするということもないと思うし、僕はやってくれると思っている」(原監督)
あとは場数を踏んで日本のボールとマウンドに順応することがテーマとなる。