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南野拓実の戦術眼も急成長!
CLで見せたロビングパスの妙技。
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byUniphoto Press
posted2019/10/29 11:45
リバプール、ナポリとの戦いに身を投じている南野拓実。CLの舞台でさらに自らを向上している。
地元紙からも高い評価を受けた。
こうしたボールをうまく使っていたのは、ナポリ戦だけではない。
CLグループリーグ初戦となったヘンク戦でもたびたび見受けられ、韓国代表ファン・ヒチャンのアシストから生まれたノルウェー代表アーリング・ハーランドのゴールはまさに南野からのボールが起点となっていた。
ナポリ戦のプレーぶりに対して、地元の『ザルツブルガーナッハリヒテン』紙は「トップ下で起用された南野。ここ数試合のようにゴールに向けての危険性を見せたわけではないが、常にいいアイディアを見せて、攻撃に勢いをもたらしていた」と高く評価していた。
実際、72分には南野がハーランドとの連携でシュートに持ち込み、CKを獲得。その流れからハーランドが高い打点のヘディングシュートで同点に追いつくことに成功している。
それでも、勝利にはあと少し何かが足らなかった。
同点ゴール直後に緩んだ緊張感。
惜しむらくはこの同点ゴール直後に緊張感を一瞬緩めてしまったことだ。ナポリはキックオフからボールを持ち込むとドリエス・メルテンスのアシストから途中出場のロレンツォ・インシーニェが冷静に得点をあげ、スコアを3-2とした。
ナポリのカルロ・アンチェロッティ監督は「思っていた通りの試合展開になった。90分間苦しまなければならないだろうと思っていた。コンパクトに守り、カウンターを狙うプランだった。ザルツブルクとは互角の試合だったのではないか。ニュアンスが違いにつながった」と安堵感を持って振り返った。
一方でザルツブルクのジェシー・マーシュ監督は「またしても学ぶことの多い夜になった。ナポリはただ強いだけではなく、したたかな相手だった。今日も多くの失点を喫してしまった。チャンピオンズリーグは世界最高レベルのクラブとの戦いなんだ。2-2となったあと、集中力をより研ぎ澄まさなければならなかった」と悔しさをにじませた。
両者の違い。ポイントとして「ナポリ選手は高いレベルでの経験が豊富だ」とマーシュは挙げていた。
経験とは何だろう。そういえば昨シーズン、オーストリアカップ決勝戦後に南野に尋ねてみたことがあった。
「いやぁ、難しいですね。場数というのは重要なポイントになってくると思います。あとは、僕の考えだと、決勝だからといつもと違うことをやるんじゃなくて、いつも通りのプレーを、いつも通りの自分のやるべきことをやれるかどうか、そこにしっかり集中できているかどうかが重要になるんじゃないかと思います。こういう大舞台であればあるほど」