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無能な強化担当に、経験不足の監督。
マンUに残された唯一の方法とは。
posted2019/10/27 11:00
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph by
Uniphoto Press
マンチェスター・ユナイテッドに永い冬をもたらしたのは、副社長と最高経営責任者を兼務するエド・ウッドワードだ。
財務面では才能を発揮し、「ゼネラルモーターズ」や「アディダス」と長期スポンサー契約を交わすなど、オーナーのグレイザー・ファミリーを大いに喜ばせている。しかし、フットボールの世界では超の字が付くド素人である。各クラブオーナー、エージェントに足下を見られ、移籍市場ではいわゆる“言い値”で無駄な出費を重ねてきた。
とてもじゃないが「いいね!」とはいえない。
この夏もロメル・ルカクとアレクシス・サンチェスをインテル・ミラノに放出したが、代わりとなるストライカーを獲得できなかった。「ステップアップのときがやって来た」と発言して、レアル・マドリーやユベントスへの移籍を希望していたポール・ポグバを、なぜか引き留めてしまった。
ユナイテッドに対するモチベーションをとっくの昔になくしている男の残留は、決して好材料ではない。
ウッドワード本人は反論するが。
ウッドワードは過去の失敗例も少なくない。順調に進んでいたはずのトニ・クロース、セルヒオ・ラモス(ともに現レアル・マドリー)との交渉で詰めを誤ったり、先方が提示してきた移籍金をメディアに漏らしたり、強化担当にあるまじき愚行を繰り返してもいる。
「強化はその筋のオーソリティに、世界でもトップクラスの人間に一任している。私が市場で失敗ばかりしているなんて情報は全部でたらめ。心外だ」
ウッドワードは反論するが、彼が語るオーソリティの存在を知る者はいない。世界でもトップクラスの強化担当が、こうも続けて失敗するはずがない。ミスばかり犯しているとすれば、権力を持つウッドワードは解雇できたはずだ。あまりに稚拙な自己弁護である。
財務面で大成功を収めているのだから、ウッドワードは一刻も早く移籍市場から撤退した方がいい。この男に任せておくと、市場価値が30億円の選手に100億円を支払いかねない。多くのメディアが指摘しているように、ユナイテッドは有能なディレクターを獲得し、移籍市場をより専門的な視点でとらえていく必要に迫られている。