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飽和するマラソン大会の受け皿に!
予算もコースもいらない新しい試み。
 

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金哲彦

金哲彦Tetsuhiko Kin

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posted2019/08/04 08:00

飽和するマラソン大会の受け皿に!予算もコースもいらない新しい試み。<Number Web> photograph by Tetsuhiko Kin

ゴール後は打ち上げを兼ねて参加者による交流会が行われる。大会によっては同じTシャツを着用して走ることで一体感を感じることもできる。

「歩く」機会が少ない地方の健康問題。

 高知と岐阜で感じたこと。それは、車社会がもたらした社会への影響だ。最近話題になっている高齢者の運転ミスによる事故だけではない。とりわけ地方では、健康問題の根拠として深刻になっていることを感じた。

 公共交通機関が少ない地方では、車が一家に一台ではなく一人に一台である。通勤で車を使うだけでなく、「300m先のコンビニも車で行く」という人も少なくない。健康維持のために必要な日常生活の中で「歩く」という機会が極端に低下しているのはむしろ地方なのだ。

 FREE10の仕組みを「飲み会に走っていく」と表現した人がいた。見方を変えれば確かにその通り。でも、そのくらいライトな感覚でいい。ストイックに運動ができる人なら必要ないが、大部分の人はそれができないのだ。「飲み会に走っていく」くらい気軽に、歩いたり走ったりするきっかけにFREE10はなるだろう。

「マラソン3.0」の時代へ。

 ランニングブームで沸く今、実は「勝ち組」と「負け組」というマラソン大会の二極化が起きている。健康のためにランニングを趣味とする人口はもう少し増えていきそうだが、マラソン大会にチャレンジするレース参加人口はそろそろピークを迎えてきた。大規模な都市型レースの人気大会の倍率がどんどん上がる一方、予算が少ない地方の大会では定員割れや大会の廃止が起きているのだ。

 同じ鹿児島でより規模の大きな「鹿児島マラソン」ができたことで参加者が大幅に減り予算の確保も困難になった「たねがしまロケットマラソン」は、30回をもって廃止となってしまった。

 FREE10という仕組みは、町おこしや健康づくりのきっかけになる可能性をもつ。また、設計の自由さは「Linux」のようなオープンソースでもある。自治体や企業とコラボしたり、独自のアイデアを盛り込んだり、自由気ままに設計できる新しいウォーキング&ランニングイベントだ。

 マラソン大会が競技者のものだけだった時代が「マラソン1.0」とするならば、東京マラソン以降のランニングブームが「マラソン2.0」だろう。そして、FREE10のような新しいスタイルが誕生してきた現在、「マラソン3.0」にバージョンアップされるのは当然のこと。

 すべての人が走る楽しさを享受できる時代は、すぐそこにある。

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