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飽和するマラソン大会の受け皿に!
予算もコースもいらない新しい試み。

posted2019/08/04 08:00

 
飽和するマラソン大会の受け皿に!予算もコースもいらない新しい試み。<Number Web> photograph by Tetsuhiko Kin

ゴール後は打ち上げを兼ねて参加者による交流会が行われる。大会によっては同じTシャツを着用して走ることで一体感を感じることもできる。

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金哲彦

金哲彦Tetsuhiko Kin

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Tetsuhiko Kin

『Number Do』の座談会で誕生した新しいランイベント「TOKYO FREE10」。

 当初は、仲間だけの遊び感覚で何度か実施していたが、やがて噂が広がり、私が出演しているNHK BS1のランニング情報番組『ラン×スマ~街の風になれ』でも紹介された。視聴者から「自分の街でもやってほしい」というお声を頂いた。BSプレミアムではFREE10のコンセプトにインスパイアされたプロデューサーの企画立案したテレビ番組も始まっている。

 そもそもFREE10とは何か? 既存のマラソン大会との違いを説明しておこう。

 従来のマラソン大会は、数千人から1万人規模のランナーが公道を走る競技スポーツである。マラソン大会のスタート場所と時間は同じ。フィニッシュ地点まで誰が一番早く走れるかを競い合うというものだ。

“ビッグイベント”には課題も多い。

 有名なマラソン大会の規模は巨大化している。たとえば、東京マラソンの場合、3万6000人のランナーが走り、ボランティアも1万人以上、100万人以上の人が沿道で声援を送ると言われている。7時間にわたり都内の道路がランナーで埋め尽くされる。

 素晴らしいビッグイベントではあるが、実施には多くの課題がある。たとえば、公道を使い信号も停止するため、警察から道路使用許可を得ることが絶対条件。毎年綿密な計画を練って警察署に提出することが義務である。そのため、フルマラソンの大会は立案してから実現するまで何年もかかる。

 さらに、開催予算も数千万から10億近くかかり、小さな自治体では予算確保がかなり難しい。スポンサー企業が獲得できなければ、エントリー代を値上げするしかないのが現状だ。

【次ページ】 「FREE10」のメリットとは。

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金哲彦
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