月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
やけに揃ったスポーツ紙の足並み。
「トランプ大相撲」をどう報じたか。
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プチ鹿島Petit Kashima
photograph byTakuya Sugiyama/JMPA
posted2019/05/31 08:00
![やけに揃ったスポーツ紙の足並み。「トランプ大相撲」をどう報じたか。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama/JMPA](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/3/e/700/img_3e1142d8ff91c4d620494e858aa4ef99151817.jpg)
幕内優勝した朝乃山(左)に贈る「米国大統領杯」を抱え上げるトランプ米大統領。
記者たちは「大イベントお疲れ様」
では「記者の目」はどうだろう。
意外なことに担当記者が書くコラムはスポーツ報知のみだった。
金属探知機の前の手荷物検査で「これが飲み物と証明するために開封して、一口飲んでください」と命じられたとし、「こんなに緊張して牛乳を飲んだのは人生で初めてだ。」と書いていた。
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この大一番になぜ牛乳か不思議な読後感があったが、最後は「協会関係者の安堵した表情が忘れられない」とあったのでどちらかと言えば「大イベントお疲れ様」というニュアンスだった。
相撲担当記者のコラムはこれだけだったが、他紙はそれぞれ「匂わせていた」。
観客、力士たちの声。
スポニチは社会面で「相撲客から“物言い”升席ソファ、厳重警備『観戦集中できない』」とし、「今後、中国の習近平主席やロシアのプーチン大統領から“私も間近で観戦したい”と要望があれば応じざるを得ないのではないか」との観客の声を載せていた。
そうだ、「トランプはオーケーであなたはダメ」なんて言いづらい。ほんとどうするんだろう。どこかの大統領さん、そんな要求言うなよ、絶対言うなよ。
デイリースポーツは「力士からは不満の声も出た」と。ペットボトルの持ち込み禁止が、取組が早い時間の力士には周知徹底されておらず、没収されるケースが続出。花道でのうがいにも使えず、
《あるベテラン力士からは「ルーティンが崩れる。こっちは真剣勝負なんだからね」と話した。》
ああ、観客どころか力士まで被害を受けていたとは。