月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
やけに揃ったスポーツ紙の足並み。
「トランプ大相撲」をどう報じたか。
posted2019/05/31 08:00
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph by
Takuya Sugiyama/JMPA
大相撲とトランプ米大統領。
これをスポーツ紙はどう伝えたか? これが今回のテーマです。
あの千秋楽をにぎやかでワイワイとした記事にするのか、それともどこか批評的な視線はあるのか。私は千秋楽翌日(5月27日)のスポーツ新聞全紙を心待ちにしていたのです。
まず「トランプと大相撲」の情報が新聞で出るにつれ、これは一大事だと思った。
たとえば、『トランプ大統領 正面升席“占拠”』『観戦予定の夏場所千秋楽 協会が全席確保』(日刊スポーツ5月17日)
多くの常連客を抱える相撲案内所(通称・お茶屋)の番頭の話として「今場所の千秋楽の正面升は、協会が1枚も下ろしてくれなかった。いつも来ている人からは苦情も出ています」
一般紙では東京新聞が5月21日に「トランプ氏なぜ升席に」。貴賓席を使わないことに相撲ファンから「迷惑だ」と声が出ていることを伝えた。
安倍首相のサプライズおもてなし。
そもそも今回の相撲見物(観戦)はどういう経緯で決まったのか。
毎日新聞の『「初の国賓」首相執着』(5月23日)は、「どうすればトランプ氏の機嫌が良くなるか、さまざまな趣向を凝こらしたい」と昨年秋に安倍首相が外務省らとの勉強会で語ったとし、《官邸関係者は「大相撲観戦も首相のアイデアだった」と明かす。》と報じた。
なお、初の国賓として招くのは昨年秋の日米首脳会談(アルゼンチン)の時には決まっていたというが、トランプ氏へのサプライズにするためにこのときはまだ黙っていたという。この気づかい、日本スゴイ論である。
貴賓席ではなくなぜ升席なのか。誰が言いだしたのか? トランプなのか?
《日米関係筋によると、首相が「前の方が迫力がある」と勧めると、トランプ氏は升席からの観戦を熱望。》(時事通信・5月20日)
……安倍首相でした。