プロ野球亭日乗BACK NUMBER
丸佳浩の打順と次打者のメリット。
広島で鈴木誠也、巨人は坂本勇人。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2019/03/01 17:00
キャンプ、オープン戦で快音を響かせている丸佳浩。巨人打線に厚みが生まれるのは間違いない。
カウントを作れるという力。
しかもカウントを作れるという特徴は、2番に入ることでより大きな力となる。
旧来の考えからすると2番は「つなぎ」の打順で、2番を打つ打者には送りバントや右打ち、待球など様々な制約がかかるはずである。
ただ、攻撃型2番を選択した場合には、初回に先頭打者が出ても送りバントはもちろん右打ちなどの制約をかけることはほとんどなく、自由に打たせることになる。おそらく丸でも坂本でも、巨人の2番にどちらかが入ったケースでは、基本的にはノーサインで自由に打たすことになるはずだ。
ただその中で1つあるとすれば、丸なら1番打者が出塁したケースで、自然と盗塁のチャンスを作れるというメリットがある。
初回に先頭打者が出る。2番が初球を打って併殺――という最悪のパターンは丸の場合はあまりないはずだ。
吉川尚の足も生かしたいからこそ。
しかも今季の巨人は1番にスピードスターの吉川尚輝内野手が入る期待がある。そうなったときには吉川の足も生かしたい。
そこで初球からガンガンいかずに、カウントを作れる丸が2番に入れば、わざわざ「待て」のサインを出す必要はない。制約をかけなくとも、打者のタイプとして自然に吉川が走る機会は作れることになるわけだ。
これが2番・坂本だとどうなるのか。基本的には好球必打系の坂本だが、おそらくその一方で考える力があるだけに、例えば吉川が出れば走れるタイミングを計って最初のストライクを我慢して待ったりと、自分で色々と制約を付けてしまうケースも出てくるだろう。それが坂本の持ち味を奪ってしまう危険性もあるかもしれない。
丸のように自然にカウントを作れる打者が2番に入れば、ノーサインでも打線の流れが作れることで、前後の打者が今まで以上に生きることになる。
それこそ丸が2番に入る隠れたメリットなのである。