野球のぼせもんBACK NUMBER
“右の柳田悠岐”になるはずだった男。
真砂勇介は、今年こそ化けるか?
posted2019/02/28 10:30
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
Kotaro Tajiri
ミギータ。
その愛称が生まれたのは、今から3年前の春季キャンプだった。
名付け親は当時二軍打撃を担当していた藤本博史コーチ。当時手術明けでB組調整だった柳田悠岐と並んでロングティーを行っていた若い右打者の飛距離に、コーチは驚嘆の声を上げた。
「オマエすごいぞ。右のギータやな。ミギータや!」
その若鷹の名は、真砂勇介。
苗字は「まさご」と読む。
2年前、大ブレイクしたはずのスラッガー。
その'16年当時にプロ4年目だった真砂はウエスタン・リーグで自身初めて規定打席をクリア。90試合出場で打率.295、7本塁打、44打点、18盗塁の成績を残した。そして、その年の秋だった。
メキシコで開催された「第1回 WBSC U-23ワールドカップ」に23歳以下の侍ジャパンの一員として参戦すると、全9試合において“若サムライ”の4番打者に抜てきされたのだ。
すると主砲として大活躍。決勝戦での特大弾を含む計4本塁打を放ち、日本代表は見事に初代世界王者となった。真砂は大会ベストナイン選出とともに大会MVPという最高の栄冠にも輝いた。
「まさかの4番バッターですよ。それまでホークスの二軍でも4番を打ったことはなかったのに」
帰国して声を掛けると、細く切れ長の目をちょっと見開いて驚いた表情をした真砂。これはもうブレイク必至。ホークスの未来は安泰だと深く頷いたのだった。
しかし今、その現実はない。